素敵な話

フェリシモという通販会社があります。

この会社は、オーガニックコットンの生産を通して、インドの貧しい人たちの暮らしを、支援しているそうです。

この取り組みは、何年も前から行われていたようですが、ニュース番組で紹介されているのを見て、初めて知りました。

きっかけは、ニューヨーク同時多発テロの後の、お客からの一通のメールだったと言います。

それは「テロに対して、フェリシモとして何かできないか?」というものだったそうです。

動いたのは、フェリシモデザインセンター部長・葛西龍也さん。

このメールに応えるため、チャリティTシャツを企画したと言います。

葛西さんはその売上金の一部を、アメリカとアフガニスタンの子どもたちのための、基金にしようと考えたのです。

その過程で、葛西さんが知ったのは、衣服の材料となる、綿花栽培の事情でした。

そこには企業に利用されるばかりで、少しも貧しさから抜け出せない人々が、存在していたのです。

企業は彼らに、遺伝子を組み換えた種や、農薬や化学肥料の大量使用を求めます。

企業の指示に従って、それらを購入すると、それが多額の借金となるのです。

いくら働いて稼いでも、そのお金は借金の返済で、消えてしまいます。

それでも、仕事をやめるわけにはいかず、企業の言いなりに働くわけです。

 ※Jim BlackさんによるPixabayからの画像です。

そこで葛西さんは、服を着替えれば着替えるほど、大地に愛が降り注ぐようなテーマを求め、2008年の冬、有志5人と「コットン部」を設立しました。

最初に始めたのは、オーガニックコットン製の、軍手の販売です。

軍手の値段は1,000円。
そこには200円の基金が、含まれていました。

軍手製作と同時に、葛西さんはインドを訪ねました。

そこで国際協力機構(JICA)インド事務所を通して、協力してくれる現地のNGOと、話し合いをしました。

その内容は、集まった基金のお金を、どうやって循環させるかという、プロジェクト「PEACE BY PEACE COTTON PROJECT」についてです。

まず、集まった基金は、NGOに拠出します。

NGOはその資金で、支援対象の農家がある土地に合う、種の組み合わせや、有機農法を研究・開発します。

プロジェクトに参加する農民には、子どもには労働をさせないと約束させます。

これは、子どもたちを学校へ行かせるためです。

それから、現地NGOが種を提供し、農法を指導します。

やり方を教われば、あとは全部自分たちで、できるようになります。

できたコットンの商品企画、カタログ制作は、フェリシモが行います。

販売価格には、50〜300円を基金として組み入れます。

商品が売れた分だけ、基金が積み立てられ、インド支援に使われる仕組みです。

葛西さんたちの支援は、これだけではありません。
それは、綿花栽培に関わることだけでなく、農村の問題全部を、解決しようというものです。

綿花を作る農家では、収穫のない閑散期には、収入がありません。

そういう期間の収入源になるよう、家畜を育てたり、女性に縫製や刺繍を指導して、物作りができる組織を、作ったりするのです。

 ※Gábor AdonyiさんによるPixabayからの画像です。

こうして村全体の収入が潤えば、基金がなくても大丈夫になります。

それが葛西さんたちの願いでした。

さらに葛西さんたちは、フェリシモ以外の企業が、プロジェクトのオーガニックコットンを使って、物作りができるよう、一連の仕組みを開放しました。

その際に、子供たちが絵を描いてデザインしたり、女性たちが刺繍をほどこしたりと、村の人たちが、好きにできるようにしたと言います。

ただ一つの条件は、他企業はフェリシモから下げ札を購入して、それを商品に付けて販売するということです。

この下げ札のお金は、基金の積立金に加えられるので、基金がますます増える仕組みです。

コットン部のメンバーは、本来の部署はバラバラだそうです。

部署の垣根を越えて、自発的に集まった方たちが、本来の業務とは別の、このような企画に関わったということです。

しかし、フェリシモはこの活動を認め、支援しています。

コットン部のメンバーでない人たちも、彼らがコットン部の仕事をしている間、そのフォローをする形で、応援しているそうです。

自然を守ること、子どもの未来を考えることなど、世の中を良くする方法を、考えることは良いこと。
それが事業になればもっと良い。

そういった考えが、フェリシモという会社には、あるそうです。

「共に幸せになる幸せ」という理念の下、幸せな社会は、どうやったらできるかを考えて、アクションに移す。

その一手段として、通販があるに過ぎない、と葛西さんは言います。

本当に素晴らしい方たちだし、素晴らしい会社だと思います。


この資本主義社会の中では、とにかく勝ち残って生き残ることしか、考えていない企業が、優秀な企業と見なされています。

それなのに、フェリシモという会社も、そこで働いている人たちも、目的は困っている人たちを、助ける事と一貫しており、その努力や工夫に、終わりはないようです。

 ※mohamed HassanさんによるPixabayからの画像です。

これこそが、人間が本来持っている気質であり、能力であり、喜びなのだと思います。

フェリシモの方たちは、人として生きるということを、自らがモデルになって、示してくれているのです。

もちろん、フェリシモの方たち以外でも、同様に素晴らしい人たちは、たくさんいると思います。

そして、そういう方たちの活躍が、以前と比べると、かなり注目されるように、なって来たと思います。

これは絶対に時代の流れでしょう。

こういう方たちの生き方は、他の者をわくわくさせます。

自分も何かやってみたいと、思わせる力があります。
心の共鳴ですね。

憎しみも人々の心の、共鳴して広がります。

しかし、愛を基本とした心の共鳴は、それ以上に、広がっているように思います。

きっと、葛西さんたちの考えは、コットンを通して、他の企業にも伝わって行くでしょう。

個人も企業も、誰かのためにという想いを、抱くようになるのです。

 ※272447さんによるPixabayからの画像です。