感覚の話 その1
感覚と言えば、五感を思い浮かべる人が多いと思います。
視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五つの感覚ですね。
触覚というのは、皮膚の感覚のことで、物に触れた時の熱い、冷たい、痛いなどの感覚も、含まれています。
五感以外にも、平衡感覚とか、体の位置感覚とか、内臓の感覚などがありますが、外界の情報を知るための感覚としては、五感が基本と言えるでしょう。
解剖学的には、外界の刺激を感知した、神経細胞の情報が脳に伝わり、感覚として受け止められるわけです。
しかし、そもそも感覚とは何なのでしょうか。
神経や脳が関わっているのは、情報の伝達です。
電話で言えば、電話線の部分です。
そして、感覚は受話器から発せられる、音声ということになります。
受話器から聞こえる音声とは、電話線を通して、そこに届いた電気信号が、スピーカーを振動させ、その振動が空気に伝わった振動エネルギーです。
電話線を通る電気信号には、その情報は含まれていますが、電気信号そのものが、音声ということではありません。
つまり、神経は情報を伝達しているだけで、神経そのものが感覚を再現しているわけではないのです。
脳はどうでしょうか。
脳も神経細胞の集まりですから、基本的には同じでしょう。
ただ、複雑なネットワークを作っていますから、そこには様々な組み合わせ、無限のパターンの、三次元的電気回路が、瞬間瞬間に作られるわけです。
これによって、微弱ではありますが、複雑な形の電磁場が生まれます。
恐らく、この電磁場が心の活動と、互いに影響し合っているのだと思います。
先ほどの電話の話に戻しますと、脳神経ネットワークが作る、微弱な電磁場が、受話器のスピーカーです。
スピーカーの振動から、空気に伝わった振動エネルギーが音声ですが、脳の電磁場に応じて、振動する心が空気で、心に再現された聴覚が、空気を振動させている音声です。
つまり、感覚というのは、心の振動パターンなのです。