卵の殻 その3
人間は心の存在です。
人間の本質は意識であり、その実体は精神エネルギーなのです。
進化というと、どうしても姿形の変化を、思い浮かべるでしょう。
でも姿形とは、本質のエネルギーが、視覚的に表現されたものです。
それは本質のエネルギーの状態の、視覚的な結果と見ることができるでしょう。
本当の進化とは、本質のエネルギー状態の変化を言うのです。
エネルギー全体は変化を見せず、その中の状態だけが変化する場合、視覚的には小さな進化に見えるでしょう。
たとえば、動物や植物を掛け合わせることで、新しい種類を作りだすようなものです。
でも、どんなに新しい種類を作ったところで、犬は犬ですし、桜は桜なのです。
犬が猫になることはありませんし、桜がヒマワリになることもありません。
これに対して、あるエネルギーに別のエネルギーが混じることによって、エネルギー全体が変化する場合があります。
これは見た目にも大きな進化となるでしょう。
それまで存在しなかった、全く新しい生き物が登場することになるのです。
恐らく、地球上で見られる大進化は、このような仕組みで起こっているのだと思います。
さて、人間に目を向けてみますと、歴史は繰り返すと言われるように、これまで人類は同じようなことばかりを、繰り返して来ました。
殺人や戦争を批判しておきながら、自らが同じことをやってしまい、それを正当化することに躍起になっています。
それは世界の現状を見ても、明らかでしょう。
世の中を歴史と照らし合わせて見ている人は、どうせまた、同じようなことになり、真の平和など訪れるわけがないと、考えたくなります。
力で世界をまとめる、いや、話し合いで解決しよう、やっぱり力尽くでないとだめだ、だけど外交努力をやるべきだなどと、世の中はいつも堂々巡りです。
その根底にあるのは、自分と他の存在は、別々のものだという考え方です。
別の存在同士が、心を一つにすることなど、有り得ません。
ですから、そこには必ず法やルールがあり、契約や権利、義務、罰などの発想が生まれるのです。
誰かが上になって、他の者たちを指導、あるいは支配しない限り、世界がまとまるはずがないと、考えるわけです。
その考えが卵の殻となり、人々から本当の自由を、奪い取ってしまいます。
このような、自他を分離させる考えが変わらない以上、人類全体のエネルギーは何も変わらないまま、同じパターンを繰り返すフラクタル状態です。
しかし、無意識と呼ばれる心の領域の、ずっと奥深くから新たな理解が、もたらされつつあるようです。
それは、人類は一つの存在だということです。