卵の殻 その1
卵と言えば、大体想像するのは、ニワトリの卵でしょうね。
でも、ニワトリ以外にも、卵から孵って生まれる生き物は、たくさんいます。
鳥類、爬虫類、両生類、魚類。
みんな卵から産まれますよね。
卵から産まれる時、卵の中で成長した子供は、卵の殻を破って、外へ出て来ます。
もし卵の殻が破れなければ、どうなるでしょうか。
誰でもわかると思いますが、子供は卵の中で死んでしまいます。
死ぬまでの間も、窮屈な卵の中で、苦しい思いをするでしょう。
何故、卵の話をするかと言いますと、卵の中にいて、外に出られない子供の様子が、今の人間の状態に似ているからです。
卵の中で育つ子供は、初めのうちは窮屈な思いもせず、何の苦労もすることなく、ぬくぬくと生きています。
しかし、成長するにつれて、次第に窮屈になって来るし、さらに成長するためには、養分が足らなくなります。
生きるためには、殻を破って外に出て、今度は自分で餌を見つけて、口からその餌を食べなくてはなりません。
卵の中の生き方とは、全然違う生き方が、必要となるのです。
人間はこれまで経済中心の暮らしをして来ました。
誰もそのことを疑問に思わず、その暮らしを当然のものと受け止めていました。
中には、暮らして行けなくなる人もいますが、大方の人々は、それなりに生きて来たわけです。
しかし、近年になると、経済中心の暮らしにほころびが見え始め、今はそれが様々な問題や事件の、共通した原因であることが、浮き彫りにされています。
それによって、これまでの暮らし方、今までのような生き方でいいのかと、疑問を持つ人が増えて来ています。
これまでも、そういう人たちはいましたが、大多数の人たちが経済中心的な考え方をしているので、自分の方がおかしいのだろうかと、悩んでいたでしょう。
今でも、何だか世の中の雰囲気に、自分は合わないと悩みながらも、世の中が正しくて、自分の方が変なのだと、理解してしまう人もいると思います。
でも、そうではなく、今の雰囲気に違和感を覚える人や、もっと違う生き方を求める人たちは、卵の殻を破って、新たな世界へ生まれ出る時期が、来ているのです。
そして、それは人類の進化の前兆でもあるのです。