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ハイブリッド その1

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 ※Andre McenroeさんによるPixabayからの画像です。

女子テニスの全豪オープンで、大坂なおみ選手が2度目のベスト4進出を果たしました。

日本人選手としてプレイしてくれているので、彼女の活躍ぶりに、多くの日本人が感激していることと思います。

しかし、当の本人が自分のことを、どれだけ日本人だと意識しているのかは、わかりません。

恐らく、日本人が期待しているほどには、自分を日本人だとは考えていないような気がします。

そもそも国籍なんて、国境と同じで、人間が勝手に作ったものです。

どこで誰の子供として生まれるのかとは、全く関係のないことなのです。

それなのに、生まれてしまえば、どこの国の人間だとか、どこの民族だとか、自分の知らない所で分類がなされてしまいます。

先祖代々、ずっと同じ土地で生まれ育つ者ばかりだと、わかりやすいのでしょう。

でも、他の地域の者と結婚したり、それまでとは全然違う場所で暮らしたりすると、生まれた子供は自分がどこの人間なのかが、わからなくなってしまいます。

大坂なおみ選手もそうでしょうし、彼女のように両親の国籍が違った人は、みんな似たような苦労をして来たはずです。

 ※Gerd AltmannさんによるPixabayからの画像です。

国籍がどこかということだけであれば、単なる事務的な話に過ぎません。

しかし、大抵の場合、子供の時に、お前はどこの人間だというような、いじめに遭っていると聞きます。

その根底には、見慣れないものへの不安や、憧れの裏返しのようなものが、入り交じっているのだと思います。

ほとんどの人が、両親の国籍や民族が違っていたとしたら、このような問題は起こらないはずです。

起こるとすれば、自分は優れた人間だと認められたい、信じたいという、自分に自信のないことによる、意図的な偏見や差別が原因です。

単に見た目が自分とは違うということで、生じる問題とは次元が異なります。

 ※Free-PhotosさんによるPixabayからの画像です。

話を戻しますと、国籍や民族が異なる、両親の元に生まれた人たちは、自分がどこの国の人間なのか、わからなくて当惑すると思います。

でも、逆に考えれば、こういう方たちは、人間社会に蔓延している、分類や仕分けの慣習を、打ち破るための存在だと、見ることができるでしょう。

かつては、こういう方たちの事を、日本では混血だとかハーフなどと、呼んでいました。

しかし、この表現には、珍しさや変わり者、あるいは明らかに自分たちとは異なる、異端児のようなニュアンスが含まれています。

これに対して、ハイブリッドという言葉は、二つのものを掛け合わせて生まれた、新しいものという意味合いで使います。

日本でハイブリッドと言えば、トヨタの自動車が頭に浮かびますが、あの車は状況に応じて、バッテリーとガソリンエンジンを、使い分けることができます。

つまり、二つの能力を活かしているわけですね。

それと同じように、人間も両親から受け継いだ特性を、うまく利用できれば、それまでにない能力を、発揮できる可能性があるのです。

ですから、二つの異なる血を受け継いだ場合、ハイブリッドという表現の方が、相応しいと思います。