幽霊の話
今日からお盆です。
お盆と言えば、亡くなった人たちをしのぶ期間です。
私たちのご先祖さまたちは、普段はあの世に暮らしていて、この期間だけこの世に戻って来ると言われています。
一方で、幽霊という存在がいます。
こちらも亡くなった人のはずなのですが、あの世へは行かずに、この世に留まっていると考えられています。
今日はこの幽霊の話をしましょう。
あなたは幽霊、あるいは幽霊らしきものを、見たことはありますか。
普段はあまり、そんな話を耳にする事はありません。
でも聞いてみると、幽霊を見たという人が、案外身近にいるものなのです。
私の家内も、若い頃に幽霊を見ています。
家内は昔、病院で働いていたことがありました。
まだ、私と結婚する前の話です
その頃は、一部屋を同僚と二人で使う、生活だったそうです。
今で言うところの、シェアルームですね。
その同僚と二人で寝ていた、ある夜のこと。
家内は、ふと目が覚めたのです。
目は覚めたものの、体は金縛りにあって動けません。
その時、自分の枕元に、誰かが座っていたそうです。
その誰かは、寝ている家内の顔をのぞきこむように、上からぬっと顔を近づけて来ました。
それは白い服を着た、髪の長い女の人で、家内が見たことがない人でした。
体が動かないので、家内は横目で、隣に寝ている同僚を見たそうですが、彼女は何も気がつかないまま、眠っていたそうです。
家内の顔をのぞきこんだ女性は、家内にこう話しかけて来たと言います。
「どうして、あなたはここにいるの?」
そう聞かれて、家内は混乱の中、その問いの答を、考えようとしました。
でも、すぐに答が思い浮かびません。
どうしてだろうと、考えているうちに、その女性は姿を消し、家内は体を動かせるようになったそうです。
その女性が現れたのは、その時一回きりだったようです。
その女性と関係があるかどうかは、わかりませんが、家内と同僚が使っていた部屋は、昔の結核病棟の部屋だったそうです。
家内は私と一緒になった後も、幽霊と思えるようなものを、目にしています。
夜、小学校の体育館を使わせてもらい、知り合いとソフトバレーボールを、やっていた時のことです。
夏の暑い時で、体育館の横にある扉や窓は、全部開けてありました。
その開いた扉の下の端から、おじいさんの顔が、みんなの様子を眺めていたと言うのです。
見た時には、誰かの家族かと、家内は思ったそうです。
でも、よく考えてみれば、いつもはそんな人は来ないし、扉の下の端に、顔があるのも不自然です。
座っていたとしても、顔の位置は、もっと上にあるはずです。
顔があった位置を考えると、そのおじいさんは外で、腹ばいになっていた事になります。
おかしいなと思って、もう一度扉に目をやった時には、そのおじいさんの顔は消えていたそうです。
次は私の息子の話です。
私の息子が学生の頃、友人たちと自殺の名所と言われる橋へ、肝試しで訪れたそうです。
息子と一人の友人は、橋の手前にいたそうですが、もう一人の友人が、橋の中ほどまで行ったらしいのです。
橋の中ほどまで行った友人は、息子たちの方を振り返って、何もないと伝えて来たそうです。
でも、その友人の向こうから、黒い人影が、ゆらゆらと近づいて来たのです。
息子と、手前にいた友人の二人には、その黒い影が見えていました。
でも、橋の中ほどにいる友人には、それがわからなかったそうです。
息子たちは大声で、早くこっちへ、逃げて来るようにと言いました。
しかし、なかなかそれが、相手には伝わりません。
その間にも、黒い影は次第に、その友人に近づいて来ます。
結局、息子たちの言葉に従って、橋の中ほどにいた友人は、こちらへ移動して、事なきを得たそうです。
今度は、私の仕事関係の人の話です。
以前に名古屋へ、仕事で出張した時、私が宿泊するホテルを、出張先に頼んで予約をしておいてもらいました。
そのホテルは、何と温泉つきのホテルでした。
初めの日は移動だけだったので、私はホテルへ直行し、自分の部屋でくつろいでいました。
する事がないので、持って行った本を、ベッドに寝転びながら読んだのですが、これが怖い話の本だったのです。
初めから読むのではなく、私は適当に開いたページを、読むことにしました。
それで開いたページに書かれていたのが、名古屋の話だったのです。
ああ、この名古屋じゃないか、奇遇だなと、私は思いました。
それで話を読み進めると、その話を伝えているのが、かつてホテルで働いていた人ということでした。
そのホテルの名前は、伏せられていました。
でも、、市内で温泉のある、某ホテルとあるではないですか。
そのホテルに幽霊が出る、という話なのです。
街中で温泉つきのホテルなんて、ざらにはありません。
もしかして、このホテルだろうかと思いましたが、私の部屋では何事も起こらず、無事に過ごすことができました。
翌日、仕事先へ行って、そこの課長さんに、その話をしてみました。
課長さんは、恐らくそのホテルは、私が泊まったホテルでしょうと言いました。
その話をきっかけに、幽霊というのではないのですがと前置きをしてから、課長さんが自分の不思議な体験を、話してくれました。
その課長さんの家が、二階建ての家だったのか、マンションだったのかは、忘れてしまいました。
とにかく課長さんの寝室というのは、高い所にある和室だったのです。
その部屋で寝ていると、閉まっているはずの部屋の入り口から、いろんな人がぞろぞろ入って来るんですよと、課長さんは言うのです。
それで、寝ている自分の周りを、ぐるぐる歩き回るのだそうです。
そして、しばらくすると、今度は閉まっているはずの窓から、出て行くという話でした。
課長さん、それは幽霊でしょう、と私が言うと、課長さんは嬉しそうに、やっぱりそうでしたかと仰いました。
こんな話を誰にも聞いてもらえず、やっと私に聞いてもらえたと、課長さんは喜んでいました。
その翌日にも、そこへ行くと、よほど嬉しかったのでしょう。
あれはやっぱり幽霊だったのですねと、課長さんの方から、もう一度話かけて来られました。
本当は怖いはずの話なのに、嬉しそうにしている課長さんを見ると、自分が役に立てたような気がして、私もちょっぴり嬉しくなりました。
確かに、幽霊を見たなんて話をしても、信じてもらえなかったり、馬鹿にされたりすることが多いと思います。
それで誰にも話ができずに、悩んでいる方が、あなたのそばにも、いるかも知れませんよ。
興味がある方は、一度確かめてみたら、いかがでしょうか。