自分探し
一時、自分探しの旅というものが、流行りました。
今でも、そういうことをされている人は、いると思います。
でも、本当の自分とは、どんな自分なのでしょうか。
それは、旅することによって、見つかるのでしょうか。
私たちは、普段物を考えたり、喜怒哀楽を感じたり、五感を感じる自分を、たった一人の自分として認識しています。
その自分が自分なのであって、それ以外の自分なんて、有り得ないというところでしょう。
しかし、本当の自分を探すということは、それまで自分だと信じていた自分は、本当の自分ではなかった、ということになります。
これは、どういうことなのでしょうか。
それは要するに、今の自分が本音で生きているのか、建前で生きているのか、ということでしょう。
人は一人一人が違いますから、それぞれが人生に求めていることも、違って来ます。
もちろん、似たようなことを求めることは、あるでしょうけど、全員が同じ目的で生きているわけではありません。
他人から見て、とても恵まれているように見える人でも、周囲の期待に自分を合わせようと、無理をして生きているかもしれません。
困っている人を見ると、胸が痛むのに、周りの人は誰も困った人に、手を差し伸べないので、みんなと同じようにしながら、これでいいのかと悩む人もいるでしょう。
頭がよくて勉強ができるので、親にも先生にも、医者か弁護士になるべきだと勧められ、大学に入ったけれど、本当は漫画家になりたかったと考える人もいます。
華やかな都会暮らしに憧れて、田舎から出て来たものの、心に浮かぶのは田舎の自然や、家族のことばかり、という話もよく聞きます。
いい夫、いい妻、いい親、いい子供、いい人。
本当はいろんなことをやりたいし、いろんなことが言いたいけれど、自分を偽らなければいけないので、それができないということも、少なくないでしょう。
何が自分にとって喜びなのか。
それをよく確かめないまま、流行に流されたり、世間で常識と思われている考え方や価値観に、自分を染めてしまうと、自分が何のために生きているのかが、わからなくなってしまいます。
それなりの楽しさはあるけれど、何か胸に空しさがある。
そう感じた時、自分は偽りの人生を送っていると、見た方がいいでしょう。
その空しさの原因が何であるのか、すぐにわかる人はいいのですが、わからない人は、それを知るために、いろんな所に行ったり、いろんな人に出会うことで、ヒントを得ようとするのです。
それが、本当の自分探しの旅ですね。
でも、それまでの価値観を捨てきれないまま、何となく旅をしても、結局は何が本当なのかは、わからないままになるでしょう。
それまでの価値観は捨てて、真っ白な心で旅をすれば、これだというものを見つけられると思います。
でも、遠くへ旅しなくても、見つけられる人には、本当の自分は、すぐにでも見つかります。
それは、日々の小さな出来事、小さな発見に、喜びや感謝を感じることです。
喜びを感じている時の自分は、本当の自分と繋がっています。
自分が一番喜びを感じるのは、どんなことかを、確かめてみて下さい。
そうすれば、本当の自分と出会うことができるでしょう。