エネルギー保存則 その1
エネルギー保存則とは、エネルギーは変化をしても、その総量は変わらない、という法則です。
つまり、存在しているエネルギーは、変化をすることはあっても、消滅することはない、ということです。
人が死ぬと、その人はいなくなったように思われます。
人だけでなく、他の生き物もそうですね。
死んだ生き物は、存在しなくなるとみなされるのです。
でも、人間も含めて、生き物が死ぬと、そこに死んだ体が残されます。
体は死んだあとも、消えることなく残るのです
やがて、その体はバクテリアや酵素の働きによって、分子レベルに分解されてしまいます。
でも、それは消滅したのではなく、別の形に変化したということです。
体を構成していた原子や分子は、消えることなく、どこかに存在し続けます。
消えたように見えるのは、それらの分子が集まってできた、体という形です。
もし、バクテリアや酵素が働かない状態にしていれば、死んだ体は崩壊することなく、いつまでもそのままで残るでしょう。
でも、その体が再び動き出すことはありません。
それは、その体には意識がないからです。
では、意識はどうなってしまったのでしょうか。
消滅したのでしょうか。
意識をエネルギーと考えるならば、変化することはあっても、消滅することはありません。
私たちが生きている人や、生きている動物に、意識や心を認めることができるのは、その人や動物が、喜怒哀楽を表現して活動したり、こちらの行動に対して反応を示すからです。
死んだ人や動物は、自分で動くことはありません。
声をかけても、反応してくれません。
呼吸もしておらず、心臓も動いていなければ、二度とこの体が、元のように動くとは思えません。
そのような状態を、私たちは死と呼び、その人や動物がいなくなってしまったと、受け止めるのです。
でも、それはその人や動物との関わりや、コミュニケーションを持つことが、できなくなったという意味に過ぎません。
その体を通して、その人や動物の心の存在を、確かめることができなくなった、ということなのです。
存在を確かめられないから、それが消滅したというのであれば、目を閉じれば、世界が消滅したということになるでしょう。
他の地域へ移動してしまった家族や、知人と連絡が取れなければ、その人たちは消滅したことになってしまいます。
でも、事実はそうではありませんよね。
自分が相手を確認できないというだけであり、相手はちゃんと存在しています。
しかし、死んでしまった人とは、永遠に連絡が取れないではないか、という人もいると思います。
そう思う人は、自分の知っている人が、太陽系外の宇宙を冒険する旅に出たと、想像してみて下さい。
地球から近い所にいる間は、連絡を取り合うことはできますが、あまりにも遠くへ行ってしまうと、連絡を取ることができません。
100光年も先へ行ったなら、電波に載せた互いの声や姿が、相手に届くのは100年先です。
生きている間に、連絡を取ることは不可能です。
でも、それは相手が消滅したという意味ではありません。
もちろん、その長い期間の間に、何か重大な事故が起きて、お互いが死んでしまうことが、あるかもしれません。
しかし、ここで議論しているのは、互いが生きていることが前提です。
生きていたとしても、二度と連絡が取れないという状況は、想定できますし、その状況において、相手が消滅するわけではないということです。
つまり死んだ人と、これまでのような意思疎通が、二度とできなくなったからと言っても、それがその人が消滅したという、根拠にはならないのです。
エネルギー保存則に従って考えれば、人は死んでも存在し続けます。
また、人以外の生き物についても同様で、大切にしていたペットや、可愛がっていた生き物たちも、死に関わらず、ずっと存在し続けているのです。