ゼロと無限大
ゼロというのは、何もないということです。
一方、無限大というのは、文字通りどこまで行っても、無限に大きいという意味です。
決して行き着くことがない、果てがないということですね。
私たちが暮らす世界は、縦横高さの三次元です。
空間という大きさのある世界です。
宇宙は拡大していると言われますが、その果てというものは、確認できていません。
果てがあるとすれば、その向こうはどうなっているのか、となりますが、その向こうがあるのであれば、果てとは言えません。
宇宙は拡張を続けた後、ある時点で収縮に転じると、考える人もいるようです。
その場合、どこまで収縮するのかはわかりませんが、ビッグバンが一点の爆発から起こったのだとすると、元の一点にまで収縮するとうイメージでしょうか。
その一点はゼロに見えるのでしょうが、ゼロではありません。
言い換えると、存在しているものが、無にはならないのです。
エネルギーは変化することがあっても、その総量は変わりません。
エネルギーが一点に圧縮されるだけであって、なくなるわけではないのです。
ゼロにしても無限大にしても、人間が頭に描くイメージであり、実際にそれが何であるのかはわかりません。
ところで、宇宙の拡張や収縮を表すものとして、表面に多くの点を描いたボールがあります。
星と星は互いに離れ合って動いている、という観察結果があるのですが、それを説明するのに使われます。
ボールを膨らませると、表面に描かれた各点は、互いに離れて行きます。
それが宇宙が拡張しているというモデルです。
ボールは破れない前提なので、どこまでも膨らませることができます。
その膨らみ方には限度がありません。
これが無限大です。
一方で、ボールを収縮させて行くと、どんどんボールは縮んで点のようになります。
でも、どんなに収縮しても、宇宙がなくなるわけではありません。
先ほど述べたように、ゼロになったように見えても、無としてのゼロには、なり得ないのです。
限りなくゼロに近づくけれど、決してゼロになることはない。
これは限りなく膨張するけれど、決して果てに到達することがない、というのと似ていますよね。
この世界のプラスとマイナスが、逆転した世界があるならば、そちらの世界では、こちらの世界の膨張が収縮になり、収縮が膨張になると考えられます。
もしかしたら、ゼロに見える瞬間とは、そんな逆転世界への転換点なのかもしれません。
プラスの宇宙が収縮して、ゼロのような点になった瞬間、マイナスの宇宙が誕生して拡張を始める、という感じです。
全ての物を呑み込んでしまうブラックホールの向こうには、呑み込んだエネルギーが噴き出す、ホワイトホールというものがあるという説もあります。
これはまさしく、ゼロと思われるものの向こうに、無限大に広がる別の宇宙が、存在しているということです。
宇宙というものは、単純な一つの時空間ではなく、いろんな時空間が、所々で接点をもってつながっているような、複雑な構造をしているのかもしれませんね。
また、果てと思えるほど遠くへ行っても、そこには新たな宇宙が広がっているのかもしれません。