悪習慣から抜け出す その2
どんな習慣でも、それが身につくには、何等かの理由があるはずです。
たとえば、毎朝歯を磨くのは、幼い頃から親に躾けられたからでしょう。
出かける前に必ず鏡を見る人は、誰かに髪の寝癖を笑われたのかもしれません。
煙草やお酒を始めるのは、大抵の場合、大人の気分を味わうためだと思います。
それが長く続けているうちに、中毒になってしまい、体が感覚的に煙草やお酒を求めるようになるのです。
体が煙草やお酒を求める場合、強制的に煙草やお酒がない環境に留まれば、やがて体は煙草やお酒がない状態に、慣れて行きます。
問題は精神的な依存です。
煙草を吸ったり、お酒を飲んだ時の感覚や雰囲気を、心が求めてしまうと、せっかく体が煙草やお酒がない状態に慣れたとしても、全て元の木阿弥になってしまいます。
これは食べ過ぎやゲーム、暴走運転など、他の悪習慣にも言えることです。
本来必要でない習慣が、いつの間にか身についてしまうのは、心が何か問題を抱えているからでしょう。
その問題を解決しなければ、なかなか悪習慣を断ち切ることはできません。
悪習慣とは、心が言葉ではなく行動によって、不満を訴えたものなのです。
煙草やお酒が、大人の象徴であるならば、大人になってからでも、自分が一人前の人間として、認められていないという不満を感じた時に、煙草やお酒に走りたくなると思います。
いわゆる、ストレスを感じた時というのが、それですね。
あるいは、普段いろんなことを辛抱し、言いたいことも言えない、やりたいこともできないと、自分に不満を抱きます。
自分で自分のことを、半人前の人間と見なしてしまうのです。
そんな時も、大人の象徴である煙草やお酒を、求めてしまうのではないでしょうか。
食べ過ぎたり、買い過ぎたり、貯め込み過ぎたりするのは、そうすることで安心感を得たいのだと思います。
でも、この安心感は一時的ですから、すぐに不安になってしまい、安心を求めて、同じ行為を繰り返してしまうのです。
車の運転にしても、道を歩くだけにしても、あるいはお店の店員さんとのやりとりにしても、やたら乱暴な態度を見せる人がいます。
この人たちも、自分に自信がない、誰にも認められていない、もしかしたら下に見られているかもしれない、というような不安や不満が漂っています。
だから、まだ、相手が何もしていないのに、舐めんなよと先に示したくなるのです。
悪習慣の陰には、自分のそんな弱気な気持ちが、隠れているのだと認識することが、悪習慣から抜け出す第一歩です。
そうだったのか、自分はそんな気持ちを抱えていたのか、と思えればいいですね。
ほとんどの人が、心の奥深くに隠れた想いに、気がつかないまま悪習慣を繰り返していると思います。
まずは心の中の想いに気がついて、それを第三者的に認めることが肝要なのです。