分身ロボ
分身ロボという記事を見つけました。
どういうものかと言うと、自分では自由に動けない人が、遠隔操作で自分の代わりのロボットを、動かすというものです。
記事で紹介されていたのは、「お笑い芸人界で初の寝たきり障害者」を名乗る、熊本県在住のあそどっぐさんです。
あそどっぐさんは脊髄性筋萎縮症により、顔と左手親指以外は動かせない状態だそうですが、お笑い芸人の道を歩んでいるという、とてもパワフルな方です。
それだけでも、人々を熱くさせているあそどっぐさんですが、生まれて初めてのアルバイトを、分身ロボを使って体験しました。
熊本に暮らすあそどっぐさんは、この分身ロボを使って、東京のカフェで働いています。
分身ロボの名は「Orihime(オリヒメ)」。
身長は約120cmで、カメラとスピーカーが内蔵されており、あそどっぐさんのパソコンの画面には、オリヒメのカメラの映像が映し出されます。
仕事はお客が注文した品を、テーブルへ届けることですが、お客と談笑することもできます。
このカフェはオリヒメを開発した、オリィ研究所が常設の実験店として、今年6月にオープンしたと言います。
カフェの名は「分身ロボットカフェDAWN ver.β(ドーン バージョンベータ)」だそうです。
重度障害で寝たきりの人や、子育てや介護で外出が難しい人など、約60人がオリヒメの操作者として働いているそうです。
オリヒメを利用している人たちからの評判もよく、体の自由が制限されている人たちの、新たな活動手段として、大きく脚光を浴びています。
いずれ分身ロボの動きや機能は、もっと優れたものになり、今以上のことが、苦もなく行えるようになるでしょう。
動けない人が分身ロボを使って、山登りをしたり、スポーツを楽しんだり、旅行にでかけたりできるようになると思います。
オリィ研究所の吉藤オリィ所長は、自身の不登校の経験から、孤独の解消を開発目標に掲げておられるそうです。
テクノロジーによって社会とのつながりを創り、分身ロボを使って、離れていても一緒に何かできる仕組みを増やしたいというのが、吉藤オリィ所長の考えです。
動けなくても、自分の意思でロボットを動かし、人や社会の役に立つことが、生きる理由になると、所長は語ります
実際、多くの人が分身ロボにより、生き甲斐を見つけていらっしゃいます。
自分では動けないことを苦にして、自殺を望む方がいます。
その自殺をどう見るのか、また、その自殺をほう助することが罪なのか、などという議論もあります。
でも、そういうことの是非を問うのではなく、オリィ所長のような発想で、本当の問題の解決へ手を差し伸べることが、求められるべきでしょう。
寝たきり障害者を自認するあそどっぐさん、分身ロボを考案した吉藤オリィ所長、そして彼らに賛同して支えようとする人々や、分身ロボを活用して新たな道を切り開く人たち。
一見、ばらばらにいる人たちが、分身ロボを介して集まっているように見えます。
しかし本当は、今の人間社会を変えるために、それぞれが役目を分担しながら、チームとしてこの世界に産まれて来たのではないかと、見えてしまいます。
記事を読んでいると、胸が熱くなり、社会が大きく変化しようとしているのが、ひしひしと伝わって来るように感じます。
みんな、自分のことを一生懸命しているだけなのでしょうが、自分が知らないところで、目に見えない糸で、つながっているのでしょう。
それは彼らだけでなく、あなたや私にも言えることだと思います。
自分が一人で活動しているようでも、きっと見えないつながりを持った人たちが、あちこちで自分でも気づかないまま、互いを支え合って、人々の意識を変えようとしているのです。
空一面に広がっていた、どんよりした雲に、小さな切れ間ができて、そこから一条の光が差し込んでいるイメージです。
やがて、全体の雲は薄くなり、あちこちに同じような切れ間ができて、そこら中に光が差し込んで行く。
いずれ雲は全てなくなり、清々しい青空が一杯に広がるのが、はっきりとわかっている。
そんな情景が目に浮かびます。
いいですね。
本当に素敵な記事でした。