終活と断捨離
終活という言葉をご存知でしょうか。
人生の終わりのための活動ということだそうですが、発音だけを聞いていると、就職活動の就活と間違えそうですね。
最近は〇〇活という言葉が流行で、終活もその流れでできた言葉です。
こんな言葉は、昔は聞いたことがありませんでした。
こうした流行言葉を使われると、やろうとしていることの内容に関係なく、とても軽くて希薄な印象を持ってしまいます。
とは言っても、いつ自分が死ぬかわからないので、身辺整理をしておくというのは、悪いことではありません。
身内が亡くなる時、葬儀だけで済めばいいのですが、財産や遺品整理、お墓のこと、保険の手続き、クレジットカードの解約など、やることは山積みです。
それらをするのは亡くなった本人ではなく、残された遺族ですから、遺族に負担をかけないと考えれば、自分が生きているうちに、身辺整理をという考えに至るのでしょう。
ただ、身辺整理をしたところで、自分がすぐに死ぬとは限りません。
きれいさっぱりした所で、思わぬ新たな人生を、踏み出すことになるかもしれないのです。
いろんな物を整理したことで、自分を抑えていた、様々なしがらみが一掃されれば、自由な気分になると思います。
そうなると、それまでとは全く違う、自分というものが見えて来るでしょう。
それは素直な自分、本当の自分です。
本当はこんなことがしたかった。
本当はこんな自分でいたかった。
そんな自分が表に出て来やすくなるでしょうから、終活も悪いことではないと思います。
ただ、せっかく出て来た素の自分を、そんなこと言ったってねぇ、と抑えてしまうと、終活はただの儀式になってしまいます。
重い病気にかかっていて、この世を離れる日が遠くない人の場合は、仕方がありません。
また次の人生で、がんばりましょうという話です。
でも、まだ元気なのに身辺整理をした人が、自分の気持ちを抑え込んだのでは、却って全てを捨ててしまったという後悔の下で、生き続けることになるかもしれません。
終活というのは一種の断捨離で、今後の自分にとって、余計な物を整理するということだと思います。
その先に死が待ち受けていようと、生が続こうと同じことです。
さらに言えば、普段から断捨離や終活を行わなくてもいいような、すっきりした暮らしを心掛けるのがいいと思います。
長く生きていると、いろんなものが付着して来ます。
その時は、それが大事なことのように、感じてしまうのですが、本来の自分に立ち返って見てみると、別に大切でないと気がつくのです。
断捨離や終活で、様々な物を手放す時に、何が捨てられて、何が捨てられないのか、自分の心の整理ができるでしょう。
自分が何を大切にしているのかが、はっきりして来ると、自分の人生がどれだけ残されているのかに関係なく、自分のあり方がわかるでしょう。
元気なうちに行う断捨離は、ある意味、それまでの自分に別れを告げる、終活だとみることができます。
つまり、終活とは新しいステージへ向かうための、準備ということですね。
無駄な物を捨てる断捨離と、次のステージへ向かうための終活。
この二つを人生にうまく取り込めば、自分が望んでいた人生に、進んで行けると思います。