あなたも研究者
研究室で何かを研究している人って、かっこいいですよね。
それに対して、自分は何も知らない一般の人間だと、普通は考えるでしょう。
でも、ちょっと待って下さい。
研究というのは、何も立派な建物の中にある研究室で、実験を繰り返すことではありません。
何かを確かめたくて、いろいろ調べたり、考えたりするのが研究です。
実験室で行う実験や、コンピューターで数字のデータをさばくのも、研究の一つの形ではありあすが、それが全てはありません。
たとえば、子供が夏休みの宿題で、昆虫の生態を調べたとします。
これも研究です。
子供の研究ごっこのように、受け止めるかもしれませんが、紛れもなく研究です。
大学などの研究室の研究と、子供の観察による研究は、何が違うのでしょうか。
何故、子供の研究は低く見られてしまうのでしょうか。
大人は精度の高い研究器具を、使っているから?
それとも、目の前にあるデータを分析する力、子供にはない?
大人の研究には、莫大な研究費がかけられているから?
どれも正解のように思えますが、事実ではありません。
必ずしも研究には、立派な器具やお金はいりません。
それに子供には、大人が忘れてしまった、純粋な視点があります。
結局、大人の研究と子供の研究の、違う点というのは、肩書きです。
つまり、研究の中身ではなく、表看板で区別されてしまうのです。
大人が行った研究か、子供がやった研究かというだけで、すでに多くの人は、色眼鏡で見てしまいます。
当然、子供の研究など、ただの遊びで見るに値しない、と受け止めるのです。
肩書きによって差別されるのは、大人同士の研究でもあるでしょう。
有名な大学や有名な企業が、莫大なお金を投じて、行われる研究は、素晴らしいと思われます。
しかし、ちっとも有名でない所がやっている研究は、何だか胡散臭いと思われるかもしれません。
ところが、実際はその人たちは、すごい研究をしていることもあるわけで、その価値を理解する知識が、一般の人間にないだけなのです。
それは、子供の研究にも言えることです。
子供には大人のような、お金や設備はありませんが、純粋な探究心や好奇心、子供なりの感性や工夫などにより、大人が驚くような発見をすることがあります。
同じように、一般庶民と呼ばれる私たちが、ちょっとした生活の工夫やアイデアを、導き出すのも研究なのです。
気分転換のために、部屋のレイアウトを変える作業も、美味しい料理を食べたくて、調理に一手間二手間かけるのも、研究です。
研究室の中で行われている研究と、中身は同じです。
新たな知識、新たな情報を探求する作業なのです。
今、何かで困ったり悩んだりしていても、それはよい答えを導き出すための、産みの苦しみだと思いましょう。
研究室の中の研究者が、首を捻っているのと同じことです。
よりよき人生を探求するために、自分は悩んでいるのだと、受け止めてみて下さい。
ちょっと肩が軽くなったような気がしませんか。
それに悩むことが、苦痛ではなくなって来るかもしれません。