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弱肉強食 その1

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 ※SichiRiさんによるPixabayからの画像です。

弱いものが、強いものの餌食になることを、弱肉強食と言います。

ネズミやウサギが、キツネに捕食されたり、小魚が大きな魚に食べられたり、小鳥がワシに襲われたりと、弱肉強食と表現されるような場面は、いろんな所にあります。

しかし、体の大きな生き物や、攻撃力のある生き物が、強い生き物で、捕食される側の生き物が、弱い生き物だと決めつけるのは、問題があります。

たとえば、人間は野生の動物と比べると、とても非力です。

日本では、毎年山に入った人が、クマに襲われる事件が起きています

最近では、餌がないためか、クマが里に下りて来て、人が襲われるというケースもあります。

このように、まともにクマと戦えば、人間に勝ち目はありません。

しかし、人を襲ったクマは殺されますし、人間がその気になれば、山のクマを絶滅させることも可能です。

それは、人間には強力な武器や、クマの動きを察知する技術があるからです。

その生き物が強いか弱いかを判断する時、その生き物が作り出す環境も含めて、考えなければなりません。

また、強力な感染症に罹患すると、クマも人間も死んでしまいます。

感染したウィルスや細菌は、感染した生物の中で増殖し、細胞を破壊します。

生き物には免疫力がありますが、免疫力が機能しなければ、ウィルスや細菌に太刀打ちできません。

 ※acworksさんによる写真ACからの画像です。

では、ウィルスや細菌が弱肉強食の強者になるのかと言うと、そうではありませんね。

いかに強力なウィルスや細菌でも、全ての生き物を殺すことはできません。

そのようなウィルスや細菌に対する、免疫力を持つものがいるからです。

サメは小魚を捕食しますが、サメが死ぬと、その体は小魚の餌になります。

何が強くて、何が弱いのか、どの視点から見るのかで、その答えは変わって来ます。

ちなみに、「弱肉強食」という言葉が、英語では何と言われるのか、辞書で調べてみました。

すると、the jungle law とありました。

ジャングルのルールということですね。

英語圏の人たちは、野生の生き物たちについて、そのように見ていたということでしょう。

確かに、捕食するものと、捕食されるものが存在するので、それが自然界のルールのように思えてしまうのですね。

ただ、肉食動物が強者で草食動物が弱者である、というような見方は間違っています。

同じ生き物でも、その生き物が置かれた環境や、体の状態などによって、強者にもなれば弱者にもなります。

トラだから強者だとか、シカだから弱者だと、決めつけてはいけません。

 ※smarkoさんによるPixabayからの画像です。

植物は根から養分を吸収し、葉で光合成を行います。

食虫植物のように、虫を捕らえる植物もいますが、大半の植物は捕食をしません。

捕食はされても、捕食はしない。

これは動物同士の関係とは、全く異なるものですね。

まるで、動物たちが生きて行けるように、土の中や大気中にある分子を、動物が取り込めるような形に、作り直してくれているようです。

慈愛ですね。

植物も生物ですが、弱肉強食の弱者というより、慈愛に満ちた母親という方が、しっくりするように思います。

自然界の生き物たちの関係を、どのように見るのかは自由です。

でも、弱肉強食という言葉で、一括りにするのは無理があるでしょう。