どう見えますか
これは有名なロールシャッハテストで、用いられる絵の一つです。
絵と言っても、意図的に描いたものではなく、インクを落とした紙を二つ折りにして、その紙を再び広げた時にできた、インクの染みです。
何の意味もないはずの染みですが、見る人によって、いろんなものに見えるわけです。
この絵は、あなたの目には、どのように映るのでしょうか。
二本足で立っている、獣のような怪物を、下から見上げているように見えますか。
それとも、ぺちゃっと腹ばいになった、牛かドラゴンでしょうか。
あるいは、大きなイノシシの顔ですか。
はたまた、二人の人間が互いによりかかって、陽気に踊っているのでしょうか。
全体を見るのか、部分を見るのか、部分を見る場合、どの部分に着目するのか。
そんなことで、ただのインクの染みは、いろんなものに見えて来るのです。
同じようなことは、実は私たちの日常でも、よく見られます。
ある人物の言動を見た時に、その人がどのような人間に見えるのか。
それは、その人の言動の、どんな所に着目したのかが、ポイントになります。
でも、それだけではなく、分析したり判断するための、自身の知識や情報、価値観などが、結果に大きく影響を与えます。
どこかのお店で、客の一人が店員に、食ってかかっていたとしましょう。
そこだけ見ると、悪質なクレーマーに見えるかもしれません。
でも、店員がこの客を小馬鹿にするような態度を、見せたのだとしたらどうでしょうか。
同じ光景が、全く逆の意味合いを、持つことになりますよね。
メールやラインなどで、付き合っている友だちが、たくさんいると自慢する人がいたとします。
対して、もう一人の人は、誰ともそんなやり取りをせず、いつも一人でいるとします。
友だちがたくさんいると言う人は幸せで、一人でいる人は孤独だと思いますか。
もしかしたら、友だちがたくさんいると言う人は、相手の方ではこの人を、友だちだとは認識していないかもしれません。
また、孤独に見える人は、自由気ままに楽しく過ごし、たまに気の合う人と、お酒を飲んだりしているのかもしれないのです。
そんな情報があるかないかで、状況の判断は大きく変わって来ます。
仕事が上手く行かなくなり、職場を離れざるを得なくなった時、その人は自分に自信を失うかもしれません。
また、将来への生活にも、大きな不安を抱えるとも考えられます。
実際、そのような経験をすると、多くの人が自信喪失になったり、不安になったりすると思います。
でも、職場を離れたことで、いろんなことに踏ん切りがつき、開き直って、それまでやりたかったことに、気持ちを集中させたとしたら、どうでしょう。
生活が楽になるとは言いませんが、あるがままの状態を受け入れることで、将来への不安を抱えたり、自信を失うということは、なくなるのではないでしょうか。
また、仕事を辞めなければ、ふんぎりがつかずに、いつまでもやりたい事を、やらなかったかもしれません。
仕事を辞めたお陰で、やりたい事ができるようになったのだとしたら、仕事を辞めたことは、悪いこととは言えないでしょう。
何故、そのような状況になっているのか。
自分がこれまで進んで来た道は、本当にそれでよかったのか。
今まで楽しいと思って来たことは、本当の喜びだったのだろうか。
そんなことを考えて、いろいろ確かめて行くと、今の自分が置かれた状況や、世の中の状態を、どう見て、どう受け止めるかが、変わって来ると思います。
それがとても不安に思えるのだとしたら、それは、不安になるような視点を、自分が持っているということです。
良くなる兆候なのだと受け止められるなら、それは、物事を深く眺める視点を、持っているということなのです。
さて、今のあなたが置かれている状況や、世界中の状況は、あなたにはどのように見えるのでしょうか。
それは、あなたがどのような価値観を持ち、どのような視点に立っているのかを、示してくれるでしょう。