ネガティブのパワー
嫌なことを考え出すと、なかなか止まらなくなりますよね。
もしかしたら、こうなるんじゃないか。
きっと、こんな風になるに決まっている。
ああ、嫌だ嫌だ、そんなの絶対に嫌だ。
まだ、何も起こっていないし、そうなるなんて決まっていないのに、頭の中で悪い妄想が、勝手に動いてしまいます。
いやいや、そんなはずがない。
こんな下らないことを、考えるのはやめておこう。
他のことに、気持ちを向けなければ。
そう思って、気持ちを切り換えたつもりが、気がつけば、また頭の中で、悪い妄想が動いています。
じゃあ、楽しい妄想は、同じように、頭の中を占拠するでしょうか。
たとえば、宝くじを買ったとして、それが当たった時のことや、当選金で旅行をしたり、好きな物を買ったり、みんなでパーティーをしたりなんて、いつまでも考えるでしょうか。
もちろん、ついついそんなことを、考えてしまう人もいるでしょう。
でも大半の人は、そんなことを考えるのは、ほんの一時だけで、すぐに別のことを考えるようになるでしょう。
嫌なことは、いくらでも妄想が続くのに、楽しい妄想は続かないのです。
その理由は何でしょう。
それは、その妄想が現実になるであろうと考える、自信の強さですね。
人は、いいことよりも悪いことの方が、起こりやすいと考える傾向があるようです。
確率的には五分五分でも、何故か、悪いことが起こる方に、自信があるんですね。
根拠なんかありません。
自分の気分です。
言い換えれば、自分の好みなのですね。
そんなことない。
嫌なことなんか、好むわけがないじゃないか。
と言う人も、いると思います。
でも、自分がそのことばかり考えるのは、自分の意識がそこへ引き寄せられている、ということなのです。
それは、自分の意識がそこに、強い関心を抱いているということで、つまり、好んでいるということなのですね。
どうして、そうなるのかと言うと、自分自身をそのような存在であると、認識しているからです。
自分は運に見放された、何をやっても上手く行かない人間だ、と自分をイメージしたとしましょう。
すると、そのイメージを具体化しようとして、嫌なものに気持ちが向いてしまうのです。
自分は楽しいことが大好きで、何をやっても楽しい人間だ、と自分をイメージする人は、そのイメージどおりに気持ちが動くので、嫌な妄想に悩むことはありません。
でも、妄想に悩むと言うのも、自分が設定した自分のイメージの、一部かもしれませんね。
誰かに嫌なことをされたとか、嫌なことを言われたという場合、普段、そんなことを考えるつもりがなくても、それをきっかけにして、悪い妄想が動き出すこともあるでしょう。
でも、それは嫌なことをした相手への、印象が悪いものだからです。
相手の本当の想いや、本当の姿に焦点を合わせたならば、その人が嫌なことをしたとしても、それを理解する心の余裕が生まれます。
心に余裕があると、嫌だと思っていたことも、嫌だと思わなくなりますので、悪い妄想は出て来なくなるのです。
いずれにしても、妄想が続くのは、その妄想に対する自信の強さが原因です。
また、それは自分自身のイメージが、妄想どおりのものということなのです。
ですから、妄想に振り回される人は、自分自身のイメージを見直して、楽しい自分に変わる工夫をした方がいいでしょう。