アリの社会性
アリは集団で生きる昆虫です。
女王アリが卵を産み、働きアリは餌を探したり、卵や幼虫の世話をする役割を担っています。
それぞれが自分の役割を持ち、アリの社会全体が成り立っているのです。
一匹一匹のアリが、好き勝手に動くのではなく、自分の役割を果たす姿は、人間が社会を形成しているのに似ています。
と言うか、人間よりも役割に忠実なので、人間以上にしっかりした社会を形成していると言えるでしょう。
それは、社会全体が一つの生き物であるかのようで、一匹一匹のアリは、その生き物の分身と見ることができます。
これと似ているのは、体の細胞です。
体の細胞は受精卵という一つの細胞が、分裂して増えたものです。
様々な形態や機能を持った細胞に分化してしまうと、それぞれの細胞が元は同じであったとは思えません。
そんな細胞たちが、それぞれの役割を果たしながら、個体という全体の形あるいは環境を、維持しているのです。
一つ一つの細胞は、独立した存在ではなく、受精卵の分身です。
元の受精卵はどこへ行ったかと言うと、分裂して元の姿はありません。
受精卵が二つに分裂した時、その二つの細胞を合わせたものが、受精卵だと考えるなら、元の受精卵は個体という形に、変貌したと言えるでしょう。
初めの受精卵に意識があるとした場合、その意識は個々の細胞に分裂しながらも、個体としての全体の意識は、常にあるのです。
個体の意識は、各細胞意識が集まった、集団意識と言えますし、細胞意識は個体の意識の一部であるとも言えます。
それと同じように、アリの集団にも集団意識があり、個々のアリは集団意識に従って、活動していると見ることができるでしょう。
社会を形成している生物は、集団意識の存在を認めやすいと言えるのです。
そして、私たち人間も社会を形成する生き物です。
つまり、私たちにも人類全体の集団意識があるでしょう。
でも、各地域にそれぞれの社会を作っていますから、各地域ごとの集団意識というものも、あると思います。
社会がどのようになるのかは、この集団意識の性質にかかっていると言えますが、アリよりも個性の強い人間の場合、個々人の考え方が、集団意識に影響を及ぼすということが、結構あると思われます。
個人が集団意識に流されて行く場合もあれば、個人個人の価値観の変化が、集団意識を変えて行くということです。
これまでの人間社会は、それまでの集団意識に流されていたように思います。
でも、この混乱の時代を通して、個々人の意識の変化が、集団意識を変えているように感じます。
それはすなわち、私たちの社会が変わるということですね。
アリで言えば、新たなアリに進化するという感じでしょうか。
同じように、私たち人間も、新たな人類へと進化しようと、しているのかもしれません。