領土問題 その1
二つあるいは三つ以上の国が、ある地域の主権を主張し合うことがあります。
日本も北方領土問題や、尖閣諸島問題などを抱えています。
領土問題は、下手をすれば戦争につながることもあり、解決すべき問題です。
しかし、どの国も自国の領土を広げる、あるいは確保することを重視していますので、お互いに引くことはありません。
そのため、それぞれの国は、自分たちの主張を正当化すべく、様々な証拠と呼ぶものを並べ立てます。
でも、どんなに証拠を出したところで、その証拠が絶対的に正しいという証拠は、ないわけですね。
となると、その証拠が正しいという証拠を探さねばなりませんが、その証拠の証拠が見つかったとしても、それがまた正しいという証拠はありません。
きりがありませんね。
そもそも、何故領土問題が存在するのでしょうか。
それは、そのエリアに利権が絡んで来るからです。
たとえば、すでにそこで暮らしている人がいる場合、外から別の人間がやって来て、そこで好き放題をされると困るわけです。
人が住んでいない場所でも、そこにある資源や、そこを通行あるいは利用する権利を、奪い合おうとするのです。
でも、何故そんなことをするのでしょう?
それは、全ての富を手中に入れたいという欲望と、富を手に入れておかなければ、何かが起こった時に、生き残れないという不安が原因でしょう。
その根底には、自分たち以外は信頼できる仲間ではないという、考えがあります。
他の国は親しくしていても、いつ裏切るかわからないと考えているわけです。
互いに握手をしながらも、後ろ手に武器を隠していると見るのですね。
確かに、そういう一面はあるでしょう。
でも、それはお互いが共通の価値観を、持っていることの証です。
相手を信じられないという、似た者同士なのです。
しかし、そんな価値観を持ち続けていたら、いつまで経っても問題は解決しません。
落ち着いているように見えても、いつ再燃するかはわかりません。
それは沈静化していた火山が、突然爆発するようなものです。
それに、こういう価値観が当たり前の国では、身内である国民に対しても、常に懐疑的な姿勢を見せています。
また、国民同士も互いを信頼できず、あちこちで様々な事件や争いが、頻発するのです。
領土問題に限りませんが、ある問題が膠着状態に陥って、解決方法を見出せないのは、お互いに基本的な考えが間違っているのです。
自分を正当化するために、相手を否定しなければならない発想が、問題を引き起こしています。
よくウィンウィンの関係と言いますが、あれは口先だけです。
きれい事を並べて、互いの腹を探り合っているだけなのです。
本当に自分も相手も否定しない考えというものは、自分と相手を同じだと考え、互いを思いやるものでなければなりません。