差別問題2
人はどうして差別をしてしまうのでしょうか。
その原因の一つに、ストレスがあります。
弱い者を見つけて、ストレスのはけ口にするのです。
学校や職場でのいじめの多くが、これに該当するでしょう。
大人による子供の虐待も、これに当てはまります。
虐待する人は、相手を一人の人間と認めていません。
つまり、差別なのです。
差別意識が虐待を生むのです。
別の原因に、自分への自信のなさが挙げられます。
自分で自分を認められないため、誰か自分より下の人間を作るのです。
そうやって、自分はその人間よりも上だからと、自分を安心させるのです。
誰かを見下すための理由づけは、何にでも見出すことができます。
容姿や肌の色、経済状況、学校の成績、運動能力、何でもいいのです。
根拠なんか必要ありません。
こいつは自分より下だと、決めつけてしまえば、それでいいのですから。
自分に自信がある人、自信を持てるよう頑張っている人、こういう人たちは差別をしません。
差別をする必要がありませんし、差別をしている暇などないのです。
逆に、恵まれない状況の中で、頑張っている人を見ると、その人を応援したくなると思います。
差別には、もう一つ原因があります。
それは、相手への恐怖や不安、あるいは怒りです。
未知の相手に対して抱く警戒心が、相手を排除しようとするのです。
初めて見た異国人だとか、初めて聞いた方言を、とても異様に感じると、その相手を遠ざけようとします。
また、相手の悪い印象を、先に持つ機会があると、当然のことですが、相手を怖い人だと思ってしまいます。
自分や仲間に対して、明らかに悪意を見せる相手には、当然警戒しますし、排除しようとするでしょう。
不安や怒りが原因で、差別が行われる場合、それが解消されれば、差別も解決します。
特に偏見によって、相手を誤解していた場合、誤解が解けると、珍しい相手への好奇心が強くなり、いろいろ世話を焼きたくなるかも知れません。
不安の対象が、相手の容姿や言葉ではなく、相手の能力や魅力という事もあります。
能力あるいは魅力が、自分より上の者が現れると、自分の立場がなくなると、心配になるのです。
その背景には、先に述べた自信のなさがあります。
相手が自分を立ててくれるなら、相手をうらやみながらも、安心します。
また、自分はその人物とは、特別な関係にあると、周囲にアピールして、自分の地位を、確保しようとします。
でも、相手が自分を立ててくれなければ、隙を見て相手を、貶めようとするかも知れません。
たとえば、相手の悪い噂を広めて、みんながその人を、見下すように仕向けます。
その結果、その人がみんなに見下されたら、自分も安心しながら、相手を見下すのです。
優れている者が、差別を受けるのは、こんなケースでしょう。
その人を貶めるのは、その人の指導者という事もあるのです。
差別をされた経験がある人が、他の人を差別してしまう事も、あるでしょう。
差別がどういう事か、わかっているはずなのにと、あなたは思うかも知れません。
でも、差別をされた経験があろうとなかろうと、差別をしてしまう原因は同じなのです。
むしろ、差別によるストレスや自信喪失が、その人に差別をさせる事があるとも言えます。
親から虐待を受けた子供が、大人になってから、自分も子供を虐待してしまう。
そういう虐待の連鎖は、このような理由で、起きるのだと思います。