矛盾が導いてくれること その2
人間には目が二つあります。
人間以外でも、動物の多くは目を二つ持っています。
どちらか片方の目だけで、何かを見ると、テレビの画面を見ているように、距離感がわかりにくくなります。
しかし、両方の目で見ると、世界は立体的に見え、私たちはそこに、空間を認識することができます。
これは今流行のバーチャル世界でも、できることです。
両方の目に異なる情報を伝えることで、あたかもそこに空間があるように、認識させるのです。
これはある意味、矛盾を解消することで、産み出された感覚と言えるでしょう。
何が矛盾なのかと言うと、右目と左目の位置が異なるために、それぞれの目がとらえる視覚情報は、微妙に違っているわけです。
双方の目が、自分が映している世界が、本物だと言い争ったとしたら、頭の中は混乱するでしょう。
しかし、頭は双方の言い分を認め、どちらも正しいと理解した上で、二つの視覚情報に基づいて、立体的な空間というものを、認識しているのです。
視覚以外の感覚についても、同じことが言えます。
嗅覚、味覚、聴覚、触覚などの感覚は、これが自分の感じた世界だと、主張しています。
それぞれの感覚の言い分だけを聞いたとすれば、世界がどんなものかは、さっぱりわからなくなるでしょう。
しかし頭の中では、それらを全て正しいと認め、うまく統合して、私たちの世界観を産み出しているのです。
面白いと思いませんか?
あまりにも当たり前過ぎる、私たちの世界観は、様々な感覚情報をまとめることで、創られているのです。
もし、ここに未知の感覚が加わったとすれば、そこには新たな世界観が創られるわけです。
そんな感覚など、あるものかと決めつけて否定することは、ナンセンスです。
動物や植物、あるいは微生物たちには、人間が理解できない感覚があるでしょう。
彼らには彼らなりの世界観があり、人間とは別の世界を感じて生きているのです。
幽霊を見たり、異世界の存在を感じたり、閃きのような形で新しい概念を受け取れる人たちは、通常の人とは異なる感覚を、持ち合わせていると思われます。
と言うか、恐らくそれは、誰にでもある感覚でしょう。
ただ、ほとんどの人が、その感覚を無視しているのです。
たとえば、目の前の空間に、何もないと思う人と、そこには空気が存在していると、考える人との違いです。
何もないと思う人も、風を感じていますし、呼吸もしています。
それでも空気が当たり前過ぎて、無視してしまうのです。
それと同じで、私たちも本当は感じているはずの感覚を、日常生活に必要ないと受け止めて、無視しているわけです。
でも、目に見える世界だけでなく、もっと別の大きな世界の存在を、認識しようとしている人たちは、この感覚の存在に気がつくのですね。
五感と同じで、感覚は鍛えれば強くなりますし、鍛えなければ衰えてしまいます。
霊能者や超能力者と呼ばれるような人たちは、感覚が研ぎ澄まされているのでしょう。
だからと言って、彼らが特別なわけではありません。
私たちと同じ人間です。
彼らを特別視するということは、自分自身の感覚を否定しているのと、同じ意味になります。
彼らの存在が意味するところは、私たちにも同じことができるのだ、ということです。
彼らはある意味、指導者であり教師です。
大切な事は、彼らの能力を認め、受け入れることで、新たな世界観を持ち、自分自身の可能性を切り開くことなのです。