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不便な便利 その1

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人間は創意工夫によって、様々な便利な物を、創り出して来ました。

また科学の発展は、さらなる便利グッズの開発に、拍車を掛けました。

昔はなかったもので、現在普通に使われている、便利なものと言えば、まずは自動車でしょう。

それとスマホやパソコンなど、インターネット関連のものですね。

他にも録画や録音などの機器、エアコン、いろいろな家電製品。

昔は贅沢品と見られていた自動車も、今では多くの人が当たり前に使っています。

 ※phon-taさんによる写真ACからの画像です。

自動車があれば、昔であれば絶対に行けなかった遠い所へ、たった一日で訪れることができます。

雨が降っても、濡れることなく移動ができます。

荷物を手に持ったり、背中に背負う必要もありません。

あまりにも便利で、当たり前の移動手段になったため、ほんのすぐそこへ行くにも、自動車を使ってしまいます。

そのため、人はほとんど歩くことが、なくなってしまいました。

それによって体力が低下し、年を取ってから歩けなくなる人が、増えていると言います。

また、自動車で移動することは、目的地まで速く移動できるということで、人々は目的地に速く到達することが、当然のことのように考えるようになりました。

ですから、前をゆっくり走っている車があると、イライラしますし、横断歩道を渡ろうとしている人がいても、無視して突っ走ったりするのです。

 ※モッサイさんによるイラストACからの画像です。

そこまでして、どれぐらい速く目的地につけるのかと考えると、大して変わらないわけですが、それでも1秒でも速く着きたいと、思うのですね。

では、その人が普段から1秒を惜しんで、暮らしているのかと言うと、まずそんなことはないでしょう。

車で無理をして走れば、少々出るのが遅くなっても、その分を取り戻すことができると思い、家では無駄な時間を、過ごしているのではないでしょうか。

その結果、いつかは事故を起こし、人生を台無しにするようなことが、起こるのです。

車を降りて、自分の足で歩いて見ると、運転中には絶対に見ないような、町の景色が見えて来ます。

こんな所にこんな物があったのかとか、驚いたり感動することが、結構あるものなのです。

 ※ぶるーむーんべるさんによる写真ACからの画像です。

自動車で移動していると、出発点から目的地へ移動する、ということだけが重視されるので、途中の町の様子など、見えているはずなのに、何も頭に残らないのですね。

この発想は自動車の運転ばかりでなく、仕事への取り組み方にも、影響するようです。

それは、結果ばかりを追い求め、結果を出すまでの、途中経過はどうでもいいという考え方です。

つまり、どんな手段でもいいから、とにかく結果を出せばいいという考え方ですね。

そして、結果を上手く出せない者は、無能と見なすのです。

そういう歪んだ考え方が、今の世の中には、まかり通っているのではないでしょうか。

 ※acworksさんによる写真ACからの画像です。

知らず知らずのうちに、目的地へ速く到達することが、いいことなのだという考え方が、すりこまれた結果のように思えてしまいます。

元は便利を求めて開発されたはずの、自動車などの機械は、結局は人々に不便な暮らしを、強いる結果になっているのかもしれません。

便利とはどういうことなのか。
不便に見えることは、いけないことなのか。

そんなことを子供のうちから、考えられるようになっていれば、便利なのに不便という世の中には、ならないと思います。