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囲碁

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 ※遊歩楽心さんによる写真ACからの写真です。

私は囲碁初段です。

囲碁を覚えたのは、三十年ほど前のことです。

当時の職場の同僚が、囲碁が好きな人で、その方の勧めで覚えました。

子供の頃は、親や友だち相手に、将棋を楽しんでいました。

碁石で遊ぶゲームでも、知っていたのは五目並べです。
囲碁なんてものは、全く知りませんでした。

成長するにつれて、囲碁という遊びがあるのは、知るようになりました。

でも、囲碁に接する機会などなく、囲碁への興味も湧きませんでした。

それでも三十年前、同僚の熱心さにほだされて、わけがわからないまま、囲碁を始めたのです。

囲碁の碁盤には、マス目を描くような、縦横の線が描かれています。
線の数は、縦横ともに19本です。

対局は黒石を持つ方が、先に石を置きます。
石の置き場所は、マス目の部分ではなく、線が交差した所です。

四隅の角の点を含めて、全部で361ヶ所あります。
そのどこへ置いても、構わないのです。

そうやって互いに石を置いて行き、囲った陣地が、多い方の勝ちとなります。

将棋に馴染んでいた私にとって、囲碁は全く未知の領域にありました。

石はマス目の中に置きませんし、それぞれの石には個性がありません。

石の置き場所も、将棋の駒の置き場所と比べると、4倍以上あります。

盤面がそれほど広いのに、一つ置き場所がずれるだけで、その後の展開が、全然違うものになるのです。

そこが囲碁の面白味なのでしょうが、覚え始めの頃は、面白味なんてわかりません。

囲ったつもりの陣地でも、簡単に崩されてしまいます。

その悔しさに、いつの間にか必死になって、勝つための勉強をしていました。

その結果、一年で初段の免状を、もらえることになりました。

その後、その方とは職場が離れ、誰かと対局することも、ほとんどないままです。

でも、たまに暇があれば、コンピューターゲームの囲碁を楽しんでいます。

陣地の囲い方には、地道にコツコツ稼ぐやり方や、大風呂敷を広げて、一攫千金を狙うやり方、どこを囲うつもりなのか、すぐにはわからないようなやり方など、いろいろあります。

相手の石を隙間なく囲うと、その石を捕虜として頂けるという、決まりがあります。

相手の石がなくなった所は、自分の陣地となります。

それに加えて、打ち切った最後に、捕らえた石で相手の陣地を、埋めることができます。

そうやって陣地を囲うというより、相手の大きな石の集団を、ごっそり捕虜にして勝つ、というやり方もあるのです。

どんな打ち方をするかは、全くの自由です。
好きなように、打てばいいのです。

 ※物好きさんによる写真ACカラの画像です。

あくまで素人の囲碁の話ですが、みなさん、打ち方には癖があります。

攻撃的な性格の人は、どうしても相手の石を、ごっそり捕虜にしようとします。

コツコツやるタイプの人は、そのように陣地を稼ごうとします。

見ていると、その人の性格が、盤上に現れるので、面白いですよ。

その結果、負ける時は、いつも同じような理由で、負けてしまうのです。

負けた方は、あそこをこうすればよかったと、反省はします。

でも、次の対局が始まると、また同じような事をしてしまうのです。

囲碁は人生の鏡と、言われることがありますが、そのとおりだと思います。

加えて思うのは、本当に戦う相手は、目の前にいる対戦相手ではなく、自分自身の心だという事です。

自分の性格とその弱点を知りながら、心の弱さのせいで、それをなかなかコントロールできません。

圧倒的な力の差がある場合は別ですが、似たような力量の者同士の対戦では、負ける原因は、己の心の弱さなのです。

懸命に考えているつもりでも、打ち間違えてしまうことは、お互いにあります。

その時に、冷静にそれに対処できた方が、勝利するのです。

しかし、不安や焦りが冷静さを失わせ、打たなくてもいい所や、打ってはいけない所に、つい石を置いてしまうのです。

これって、人生で焦っている時と、よく似ているでしょ?

また、同じような失敗を繰り返す原因の一つに、同じ打ち方しかしない事があります。

自分の好みは、こういう打ち方なんだと、自分の打ち方を貫くのも、一局の碁です。
それは、その人の美学なのでしょう。

でも、腕を上げるという目標に立つならば、自分が好まない打ち方も、研究する必要があるのです。

試してみれば、意外に自分に合っている所が、あるかも知れません。

あるいは、その打ち方を応用する事で、新たな打ち方を、会得できる可能性もあるのです。

他の人の打ち方を認めなければ、上に上がれないのが囲碁です。

それと同じで、他人の価値観を認められないと、人間としての成長はありません。

私は囲碁を通して、そういう考え方を学ばせてもらいました。

でも、こういう事は、将棋でも他のゲームでも、言えると思います。

ゲームとは、人生を振り返るためのもの。
そう理解して楽しめば、それまでとは違った楽しみ方ができますよ。

一度、お試しあれ。