愛とは
愛とは何でしょう。
愛と言えば、まず頭に浮かぶのは、男女の愛でしょう。
それから親の愛、子供の愛、兄弟姉妹の愛、などの家族愛でしょうか。
友情や助け合いなどは、愛という言葉を使いませんから、愛とは少し違うように思うかもしれません。
でも、これらも一つの愛の形であり、愛の表現だと言えるでしょう。
もっと大きな視野で見ると、人間愛というのもありますね。
自然や動物、植物を愛するということもあります。
そして、恐らくは神さまの愛というものが、何等かの神を信仰する人たちにとっては、最高の愛でしょう。
しかしこれは、愛にはどのような種類があるかを、説明しているだけで、愛とは何かという質問の、答えにはなっていません。
愛にいろいろ種類があるのは、わかりましたが、結局、愛とは何なのでしょう。
体の全ての細胞は、たった一つの受精卵が、分裂をすることで作られます。
それと同じように、世界中のすべての存在は、たった一つの存在の分身であると考えることができます。
そして、愛というものは、自分が元の一つの存在の分身であると、感覚的に理解する、あるいは理解させられることだと、言えるでしょう。
自分がどのような存在であるかなど、何も気にする必要はありません。
自分という存在は、無条件に受け入れられ、他の存在たちと全くの同価値であると、理解できるのです。
自分なんかに、どんな価値があるのだろうと、自信が持てない人は多いでしょう。
その存在価値を無条件に認められ、全く純粋に受け入れてもらえたならば、どれだけ嬉しく幸せなことでしょう。
それが愛というものです。
愛は、自分と相手が一つであることを、思い出させてくれます。
だからこそ、惹かれるのです。
私たちが暮らす物質世界は、自分と他のものを区別し、分ける世界です。
それは他のものとのつながりを、感じさせなくするのです。
一見、自由に見えるこの世界ですが、結果として孤独に陥りやすいのです。
そんな中で、本当はつながっているんだよと、教えてくれているのが、家族愛などの、身近な人たちとの間に感じる愛情です。
成長して来ると、生物としての人間の本能が、種族維持のために活動を始めます。
それが異性を求める行動につながりますが、そこにも相手を大切にする気持ちが表現されると、男女の愛というものを、感じるようになります。
同性愛者同士の愛も、これと同じです。
体が男か女かは、実は重要ではありません。
相手を大切に想う気持ちにこそ、真実の愛が隠れているのです。
ところが、本能に従った、異性間の体の結びつきを、愛だと勘違いする人がいます。
相手を愛するというのは、性的に相手の体を、心地よくさせることだと考えるのです。
場合によっては、相手が拒んでいるのに、自分の性欲を愛情だと決めつけて、無理やり相手の体を求める者もいます。
しかし、こんなのは愛でも何でもありません。
愛だと言うのであれば、歪みに歪んだ低質の愛です。
相手を本当に愛しているのなら、絶対に相手を傷つけるようなことは、しないでしょう。
全ての存在が、元の一つの存在の分身であれば、全ての存在は家族です。
全ての存在は同価値であり、その本質においてつながりがあります。
そのつながりを感じられた時、私たちは自然の存在に対して、愛情を抱くのです。
その時は、必ず向こうもこちらの愛を感じていますし、こちらへ愛を送っています。
そうでなければ、心がつながっているとは言えません。
誰かに対して、愛情を抱いても、相手の人が気づいてくれないことはあるでしょう。
しかし、愛を感じるのは、表面的な意識ではありません。
もっと心の奥の方で感じるのです。
表面的に相手が気づいてくれていなくても、気にする必要はありません。
また、愛というものを、男女愛などという枠にはめて、理解してはいけません。
枠にはめてしまうと、型どおりの関係を求めるようになり、そうならなければ、相手を裏切り者のように感じるでしょう。
愛は性別を超えたものです。
個人的に独占できるものではありませんし、いかなる条件も不要です。
自分が多くの愛をもらっているのに、気がつかない場合もあります。
でも、生きる喜びを感じていたならば、それは周りの愛を受け取っている証拠です。
愛をくれるのは、人間であるとは限りません。
自分の周囲に存在する全てのものに、感謝の気持ちを持ちましょう。
もし、生きる喜びを感じられない時があったなら、それは周りが愛をくれていないからではありません。
あなた自身が自分の殻に閉じこもり、愛とのつながりを断っているのです。
何か嫌なことがあった場合、それを誰かのせい、何かのせいにしたくなる時は、特にそうです。
言い換えれば、愛とは生命エネルギーそのものであり、精神エネルギーでもあるのです。
私たちは、愛と呼ばれる生命エネルギー、あるいは精神エネルギーの海の中に、その一部として存在しているのです。
海の中で、水の状態でいると、どこに境目があるのかわかりません。
全ては一つにつながっています
ところが、一部が冷えて氷になったとします。
すると、そこだけが全体から孤立した状態になります。
孤独を感じている時というのは、そんな状態だと言えるでしょう。
どうすれば、孤独ではなくなるのか。
それは氷から、水に戻ればいいのです。
つまり、あなた自身が、愛というエネルギーに戻ればいいのです。