童心に返ろう
そんな子供じみた事をして。
いつまで経っても、子供なんだから。
あなた、年はいくつなの?
これらは童心を否定する言葉です。
童心を否定することで、自分は立派な大人であると、示しているのです。
だけど、童心というものは、失われることはありません。
童心を隠さない人たちを、批判している人たちの中にも、童心はあるのです。
童心と呼ばれるものは、別の言い方をすれば、純粋な好奇心です。
喜びや楽しさを求める、原動力なのです。
それに対して、大人と規定される概念は、次のようなものでしょう。
言われたことを、責任を持って、きちんとこなす。
仕事と遊びの区別をつける。
世の中のルールや常識を理解して、社会の和を乱さない。
この三つ目の中には、恥ずかしいことはしない、という事も含まれています。
国や地域によって、そこの線引きは異なるでしょうが、恥の文化の日本では、なかなか恥ずかしいことは、やりにくいですね。
興味を持ったことに、まっしぐらとなる子供は、そこがどんな場所なのかとか、他人に迷惑がかかるか、などということは、基本的にはお構いなしです。
他人の目を気にしませんから、恥ずかしいかどうかも、笑われるまではわかりません。
しかし、他の人のことを考慮するように教えられると、そこは子供も工夫します。
そうしながらも、子供はやはり、自分の興味を満たそうとします。
ところが大人になると、ルールに従うばかりで、自分の興味は抑え込んでしまう傾向が強くなります。
それは何故でしょうか。
その理由の一つは、大人になると、基本的にどこかの企業に就職し、そこのルールに従って、言われたことだけを、こなすようになるからです。
言われていないことをするのは、マイナスとされます。
いい評価をもらうためには、自分を殺さなければなりません。
みんながそんな風にしているので、それが普通で当たり前だと、誰もが思うようになるのです。
もう一つの理由は、平凡と呼ばれる暮らしを続けることで、自分が何かをやったところで、大したことはできないと考えるからです。
楽しむことが大切なのに、注目されるような結果を出すことが、重要だと考えるようになっているのです。
こんな考え方は、とても日本的だと思います。
しかし、童心というものは、注目されることを目的にしていません。
楽しむということが、目的なのです。
大人になってからも、童心を持ち続ける人は、いろいろです。
社交性を持たないまま、ひたすら自分の世界にこもる人。
社交性がなければ、トラブルを起こすことがあるかもしれません。
でも、好きな世界にこもれることは、本人にとっては幸せなことでしょう。
社交性に富んで、ユーモアたっぷりな人。
自分が関わる仕事に、興味さえ持てれば、独自の工夫を凝らしながら、くじけることなく、目標に向かって行く、パワーを発揮できます。
でも、仕事に関心が向かなければ、長続きせずに、すぐに辞めてしまうでしょう。
科学の世界の最先端で活躍する人たちも、童心を抑制せずに、好奇心の赴くままに、突き進んでいるのだと思います。
大きな会社を動かしている人も、好奇心が人一倍旺盛だと思います。
逆に言えば、そういう人でなければ、そんな仕事は務まらないでしょう。
童心に返ると言うと、子供の頃のように遊ぶイメージがありますが、このように大人の姿を維持したまま、童心に返っている人もいるのです。
そういう人は、見た目は普通の大人です。
でも、夢を語らせると、目を輝かせて楽しそうに喋り続けます。
喋り出したら、止まらないといった感じです。
私がタイトルにつけた、童心に返ろう、という呼びかけは、子供の頃に持っていた、好奇心を蘇らせ、自分の夢を追いかけよう、という意味なのです。
人間を子供と大人に、明確に分けてはいけません。
両者には境界線などないのです。
成長するということは、意識の上に、いろんな知識や経験を積み重ねて行くということです。
子供の頃に持っていた心は、いつだって意識の中心にあるのです。
表面から見えにくくなっているだけで、誰の心の中にも、子供の時の心はあります。
子供の頃の心は、いつも楽しさを追い求めようと、うずうずしているのです。
童心を抑えるのではなく、子供の頃には持っていなかった、知識や経験、それにお金を活用し、自分が楽しめることを追求して下さい。
夢を実現させようとする人の姿は、他の人の心を熱くさせます。
関係ない人までをも、引っ張り込む力があります。
落ち込むことが多い世の中ですが、だからこそ、童心に返ることが大切なのです。
何故ならば、みんなが落ち込む世の中になってしまったのは、多くの人が童心を見失っているからなのです。
楽しむことよりも、お金を蓄えることにばかり、熱心にさせられています。
お金がなければ何もできないと、信じ込まされています。
でも、子供はお金がなければ、ないなりに楽しみを見つけます。
童心に返れば、そんな喜びを見つけることが、できるでしょう。