執着する理由 その1
あなたには執着しているものがありますか。
それは何でしょうか。
お金ですか。
それとも、何か珍しいコレクションでしょうか。
食べ物や、性に執着する人もいますよね。
地位や名誉に執着することもあるでしょう。
他にも、注目を浴びることや、誰にも負けないこと、というのもあります。
誰かからの贈り物であったり、家族の遺品などに、執着することもありますね。
誰かへの復讐に、執着することも、有り得るでしょう。
世の中には、全てのことに無頓着で、何に対しても執着しない人もいますが、その一方で、いろんなことに執着している人が、結構いるようです。
人生いろいろですから、執着することが、悪いとは言いません。
謎を解明することに執着する人は、すごい研究者になるかも知れませんし、事件を解決する名刑事になるかも知れないのです。
好きな物を集めるのも、誰にも迷惑をかけないのであれば、全く構わないと思います。
ただ、楽しむためだけとは言えないような、執着は要注意です。
何故なら、その執着の裏には、大きな精神的問題が、隠れているかもしれないからです。
たとえば、お金に執着する人。
金、金、金と、お金のことばかり気にしたり、蓄えは十分あるのに、もっともっとと、お金を稼ぐことに、夢中になる人がいますよね。
お金がないと心配という人は、将来に対する不安を、抱えているわけです。
マネーゲームを楽しんでいるつもりの人でも、お金がない生活を、楽しめる自信がなければ、結局は不安が根底にあると思います。
ゲームがうまく行っているうちは楽しめますが、うまく行かなくなると、途端に顔から血の気が引くでしょう。
毎日株価を気にしていると、他のことに気が向かなくなってしまいます。
もしも株が大暴落したり、世界規模で大恐慌が起こったりすれば、絶望するかもしれません。
お金持ちであろうと、貧乏人であろうと、お金に執着してばかりだと、せっかく人間に生まれて来ているのに、人間としての喜びに気づかないまま、人生を終えることになるでしょう。
それは、あまりにももったいない話ですし、株価の大暴落どころではない、大損失です。
身の回りに、いろんな物を揃えたがる人も、やはり気持ちの底に、不安が潜んでいます。
物を揃えることで、自分を安心させようとしているのです。
こういう人も、物を購入できなくなったり、災害などで全てを失うと、どうしていいのかわからなくなるでしょう。
必要な物以外は、得ようとしないし、何かを失っても、また手に入れればいいや、と思える人は、常に身軽です。
何かが起こっても、次のステップへ進むことができます。
しかし、不安を隠すために物を集めていた人は、不安がむき出しになってしまい、パニックに陥ってしまいます。
生きるということに、真剣に向き合い、人生の喜びを知る人は、目の前に出された状況を、素直に受け入れて、それを乗り越えて行きます。
乗り越えるしかないから、乗り越えるわけですが、それでも乗り越えることを決めていますから、どうしようという不安はありません。
これからどうなるのだろう、と考えることはあると思います。
それにしても、結局は乗り越えて行くしかないと、理解していますから、必要以上に悩んだりはしないでしょう。
お金や物に困って執着している人の場合、なかなか思い通りに行かなくて、いろいろ悩んだ末に、人生の意味を理解するように、なるかもしれません。
しかし、お金や物に恵まれて、一見素晴らしい人生を、送っているように見える人は、実は自分が不安を抱えているとは、気がつきにくいのです。
そこに気がつかなければ、人生の本当の意味は理解できません。
健康の意味を知らないで、本当は体がガタガタになっているのに、好き勝手に暮らして、体をいたわろうとしない人に、似ていますよね。
人生の意味がわからず、本当はとても不安なのに、流されるままに生きて、自分の本音の声に耳を貸そうとしない。
それは、やはりもったいない事だと、私は思います。