無償の愛3
愛とは、世界あるいは他の存在との、喜びや安らぎのある一体感です。
でも、どうしてそんな一体感を、感じるのでしょうか。
つまり、どうして愛は、存在しているのかという事です。
その答は、人間を含めた世界の全てが、元は一つだからです。
人の体は、無数の細胞で構成されています。
でも、元は受精卵という、たった一つの細胞でした。
受精卵が何度も何度も分裂を繰り返し、増えた細胞が様々な形に姿を変えて、そうしてできたのが、私たちの体なのです。
受精卵が二つに分裂すると、そこに二つの細胞の意識が生まれます。
しかし、受精卵全体の意識も残ります。
さらに分裂を繰り返しても、同じです。
全体の意識は維持されながら、その中に無数の細胞の意識が、生まれるのです。
細胞の意識は、全体の意識の一部分であり、別個のものではありません。
各細胞同士は、別個の存在のように見えますが、どちらも全体の一部です。
どんなに違う姿や、異なる役割を担っていても、元は同じなのです。
それと同じように、人間も元をたどれば、みんな同じ所に行き着くでしょう。
また人間だけでなく、地球上の全ての存在が、地球の成分で構成されています。
つまり、地球上の全ての存在は、地球の分身であり、兄弟姉妹なのです。
地球はと言うと、太陽系が生まれた時に、他の惑星たちと一緒にできたのですから、太陽系の星は、みんな兄弟姉妹です。
同じように考えると、太陽系と他の恒星や惑星は、銀河系の分身であり、兄弟姉妹です。
また銀河系も宇宙の分身で、他の星雲とは兄弟姉妹です。
この事から言えるのは、世界全体が私たちの兄弟姉妹であり、私たちは一人も漏れることなく、世界の一部なのです。
それは物質的な意味だけでなく、精神エネルギーとしても言えることです。
宇宙全体を精神エネルギーだと見た時、私たちの心は、やはり宇宙の一部なんですね。
自分が世界とつながっていると、感じることができれば、この上ない安心感を得られます。
この安心感は、この世界を生きて行く上で、大きな支えになってくれます。
だからこそ、人は他の人や生き物たちとの、つながりを感じたり、求めたりするのです。
そして、そのつながりを、愛という言葉で表現しているのです。
※Gerd AltmannさんによるPixabayからの画像です。
恋は愛への憧れです。
自分と一つだと感じられる相手を、求めているのです。
出会った瞬間に、自分と相手が一つの存在なのだと、気づく場合もあるでしょう。
でも、多くの場合は、この人が本当の自分の相手なのかと、おっかなびっくり確かめるのだと思います。
その結果、やっぱりこの人だと確信することもあれば、どうも違うみたいだと別れることもあるのです。
もし別れることになったとしても、相手のことを思いやり、その生き方を尊重して、相手の幸せを願うのであれば、それは愛ですね。
自分と相手は一つではないと、頭では考えながらも、実は二人が元は一つなのだと、意識の高い部分で気づいているのです。
こんな感じで、愛と呼べる想いは、意識の高いところから来ます。
通常の意識や感覚では、それを愛だとは、理解できないかも知れません。
私たちが普段理解している愛は、男女間や家族間など、人間関係というフィルターによって、歪めた形の愛です。
しかし、本当の愛というものは、そのようなフィルターを通さない、純粋なものです。
そんな愛を垣間見た時に、人はそれを無償の愛と呼ぶのです。