あなたの世界 その4
吐き出しても、吐き出しきれない苦しさや、再び湧いて来る苦悩は、どうすればいいのでしょう。
そこは自分で、考えなければなりません。
どうして、吐き出しきれないのか。
何故、吐き出しても、再び湧いて来るのか。
そこには必ず理由があります。
それがどんなものかは、人によって異なるでしょう。
ただ言えるのは、本人の価値観が、原因だと言うことです。
つらいことがあったら、笑ってはいけない。
ひどいことをした相手を、許すなんてできない。
人を傷つけた自分が、幸せになってはだめだ。
自分には、一人で生きて行く力なんてない。
人生が台無しになったから、自分には生きる意味がない。
自分なんか、誰にも愛されていないから、一生孤独だ。
他にもありますが、こんな感じのネガティブな価値観を、ずっと持ち続けているのが、問題なのです。
ネガティブな価値観は、あなたの心、あなたの世界を、マイナスエネルギーの振動で、震わせ続けます。
それが苦しみや苦悩となり、吐き出しても吐き出しても、湧いて来るのです。
あなたの人生とは、あなたの世界そのものです。
喜びに満ちた人生を、体験したいのであれば、世界を喜びの振動で震わせる、価値観を持つ必要があります。
ちょっとしたことにでも、喜びの価値がある。
つらいことにも、喜びや優しさにつながるものがある。
人として、生まれて来られてよかった。
そんな価値観が持てるようになれば、あなたは苦しみから解放されるでしょう。
しかし、価値観というものは、勝手に変わるものではありません。
自分自身が考え方や、物事の受け止め方を、変えると決めなければ、何も変わりません。
あなたの世界は、ずっと同じ状態に、留まり続けるでしょう。
とは言え、人は価値観を変えることが苦手です。
まるで、その価値観こそが自分自身だと、思い込んでいるようです。
価値観を変えてしまえば、それはもう自分じゃない、みたいに考える人は、少なくないのではないでしょうか。
何とか頑張って、価値観を変えようとしても、実際はなかなか、上手く行かないかも知れません。
その場合は、恐らく古い価値観を、否定しているのだと思います。
どういうことか説明しましょう。
先に述べたように、人は価値観と自分自身を、同一視しがちです。
ですから、それまでの価値観を否定することが、それまで生きて来た自分を、自分で否定するように、思えてしまうのです。
人は自分の存在を、否定されることを嫌います。
ましてや、自分で自分を否定するなんて、できるものではありません。
でも、そんなことをする必要はないのです。
たとえば、あなたがこれまで、人を傷つけるようなことばかり、して来たとしましょう。
それが社会的に見て、悪いことなのは、わかっています。
それなのに、そういうことをして来たのには、理由があるのです。
他にもいろいろやり方は、あったかも知れません。
でも自分としては、そういう生き方しかできなかったし、そうやることでしか、生きて来られなかったのです。
だけど今は、これまでとは状況が変わりました。
これまでと同じようには、生きたくありません。
だから、新しい価値観を持ち、新しい自分となって、生きて行こうと決意します。
しかし、ここでかつての自分を、否定してはいけません。
過去の行いを、反省することは大切です。
でも、その時の自分を否定しては、いけません。
他人がどう言おうとも、その時の自分は、その価値観でしか、生きる事ができなかったのです。
ああすればよかった、こうすればよかったと言われても、それらは全部、結果論です。
今から思えば、どんなにひどい価値観だったとしても、その価値観を憎んではいけません。
仕方がなかったのです。
どんな価値観も、自分を守るために、生まれた価値観なのです。
怖いことや、不安なことから、自分を守ろうとしていただけなのです。
古い価値観を否定せず、環境が変わったから、お役御免になったのだと、その価値観に別れを告げましょう。
本当はそんな風には、考えたくなかったんだよねと、古い価値観をねぎらってあげて下さい。
そして、これからは新しい価値観で、生きて行くことを宣言し、古い価値観を手放すのです。
古い価値観をねぎらって手放せると、過去の自分を否定せずに済みます。
過去の自分を否定したと、認識してしまうと、新しい人生を送り始めたつもりなのに、自分は悪い人間だったという思いが、ずっとしこりになって残るでしょう。
過去の自分を否定せずに、受け入れる事ができたなら、真っ白な状態で、新しい人生を歩むことができます。
また、過去の自分と同じような状況で、苦しんでいる人の気持ちを理解し、励ましてあげられるでしょう。
それは人として、最高の人生だと思います。