あなたの世界 その3
私たちが認識している、この世界の構成要素は、物質あるいは物質エネルギーです。
山や川や海、炎や光、空気に水に土、建物や道路、自動車、電車、飛行機などの乗り物、食べ物、それに動植物や微生物、人間。
全部、その本質は物質エネルギーです。
ところが、個人が体験している世界とは、身体を通して得た情報を元に、心の中に構築されたものなのです。
世界を構築する元の情報は、身体が属している物質世界のものです。
でも、あなたが認識している世界は、あなたの心に属したものなのです。
つまり、あなたの世界の構成要素は、物質ではなく、精神エネルギーということです。
何かに喜んだり、腹を立てたり、悲しんだりという感情や、素晴らしいものを見たり、体験することで得た感動は、心の中で起こるものです。
これらは心の振動であり、精神エネルギーです。
先ほども述べましたように、自分が見たり聞いたり触れたりしている世界は、精神エネルギーで構成されています。
また感情や感動も、精神エネルギーです。
何が言いたいかといいますと、感情や感動もまた、世界の構成要素だということなのです。
感情や感動がない世界は、写真で言えば、色がついてないモノクロの状態です。
感情や感動があるからこそ、世界に色、つまり意味が生まれるのです。
同じ場所、同じ状況に置かれても、そこに対する感情や考え方が、人によって異なります。
それは、一人一人の体験している世界が、違うという事なのです。
誰も自分のことを、わかってくれない。
自分の気持ちなんか、誰も理解してくれない。
そんな風に考えたくなることって、あるでしょう。
でも、わかるはずがないのです。
一人一人は別々の世界を体験しており、他の人の世界をのぞくことは、できないからです。
わかって欲しいと期待するのは、無意味なのです。
わかるよ、あなたの気持ち。
悩んでいる人に、そう言うことはあるでしょう。
それは相手の状況と自分の体験を、照らし合わせた上で、相手の気持ちを推測しての言葉です。
でも、本当にそのとおりなのかは、確かめようがありません。
同じ状況にあっても、その受け止め方は、人によって違います。
たとえば、悲しい状況を経験すれば、悲しいのは確かに同じでしょう。
でも、その悲しみが、どのようなものなのかは、わかりようがありません。
痛みについても同じです。
同じような病気、あるいは怪我をしても、痛みの感じ方は人様々です。
孤独な人と、愛する者に囲まれている人とで、痛みの度合いは違うと言います。
同じような苦難にあったとしても、それを乗り越えられる人は、大した苦痛を感じません。
でも、そうではない人も、いるわけです。
そういう人たちに、そんなの大したことないでしょうに、と言うのは間違いなのです。
とにかく、他の人の気持ちはわかりません。
推し量ることしか、できないのです。
逆に言えば、他人に自分の気持ちを、わかってもらおうと言うのは、無理なことです。
それでも、苦しい気持ちや、つらい思いは、吐き出せば楽になるものです。
それを相手が、本当に理解してくれているかは、わかりません。
しかし、理解してくれようとする、その姿勢には救われるでしょう。