あなたの世界 その2
感覚を通して得た情報を元に、人は世界を認識しています。
しかし、その情報は身体を通して得た、個人的な情報です。
幽霊が見える人がいたとしても、その人だけが特別な世界を、見ているのではありません。
全ての人が、一人一人違う世界を、見ているのです。
これはサーバーにつながった、パソコンをイメージすれば、わかりやすいと思います。
サーバーの中にある情報は、電磁気的な記録ですから、そのままでは人間は、理解することができません。
その情報を使って、モニター画面に映像を作り、スピーカーに音を再現することで、そこにどんな情報が、あるのかがわかります。
そして、その情報に基づいた世界を、体験することができるのです。
でも、一人一人が見ている世界は、個人的なパソコンやスマホを通して、体験しているのです。
映画のスクリーンみたいに、大きな部屋に一同が集まって、みんなで同じ映像を観たり、同じ音を聴いているのではありません。
パソコンやスマホの設定が違えば、画像の状態や音の質が、変わるでしょう。
ハッカーやコンピューターウィルスに冒されると、他の人が見聞きしているものとは、全然違う映像や音が、現れるかも知れません。
でも、その映像や音は、他の人にはわからないのです。
私たちが認識している世界も、同じような仕組みなのです。
あなたが体験している世界は、あなたの身体が集めた情報に基づいて、あなただけのために創られたものです。
他の人には、あなたの世界を、知る術がありません。
逆に、あなたが他の人の世界を、確かめることもできません。
あなたには、モニターを通して、他の人の姿が見えるし、声も聞こえます。
ですから、みんな同じ世界に、いるように思えてしまいます。
でもそれは、あなたのモニターに、その人の身体の情報が、再現されているだけです。
本物のその人が、そこにいるわけではないのです。
あなたは他の人に、声をかけたり、身体に触れたりすることができます。
そうすることで、あなたはその人と、同じ世界にいると感じるでしょう。
でも、そうでないのはバーチャル世界と同じです。
あなたが他の人に触れた感覚も、取り込んだ情報に基づいて、あなたの中で、創られたものなのです。
私たちは身体を通して、現実世界というバーチャルゲームを、体験しているのです。
ちなみに身体は、この世界に属したものであって、あなた自身ではありません。
あなたは別の世界から、身体を通してこの世界を、のぞくようにして確かめているだけです。
このゲームの中で、あなたは相手に対し、身体を通して声かけをしたり、手で触れたりして、情報を発信します。
コンピューターやスマホのゲームでは、チャットはできても、手で触れる感覚までは作れません。
でも、そういう感覚までもが、このゲームでは利用できるのです。
それによって、世界はとてもリアルに感じられます。
みんなが普段遊んでいる、バーチャル世界のゲームでは、あなたはコンピューターやスマホの前にいます。
ゲームの中にいるあなたは、ホストコンピューターの中にある情報を使い、作り出されたキャラクターです。
ゲームの中で、あなたや他の人たちは、自分の代理であるキャラクターを通じて、互いに交流します。
それと同じで、私たちは自分の代理である、肉体を通じて、他の人たちと交流しているのです。
では、あなたが体験している、個人的な世界は、誰が創っているのでしょうか。
それは、あなた自身です。
あなたが認識できる世界は、あなたの身体の五感によって、構築されています。
これらは自動的に創られますから、あなたがそれについて、何かを考える必要はありません。
では、あなたが体験している世界は、あなたの身体が勝手に創り上げているのでしょうか。
違います。
身体は五感の情報を、脳を通して、あなたに提供する機能があります。
でも勝手に動いて、勝手にいろんな情報を、あなたに送るわけではありません。
身体がどこで何をするのか、それは全てあなたが決めています。
そうでなければ大変です。
あなたが知らない所で、身体が勝手に歩いたり、何かを食べたり、他の人と喋ったりするとしたら、それはあなたが身体を、他の誰かに乗っ取られたのと同じです。
目を開けたり閉じたりするのも、立ち上がるのも、鼻をほじるのも、全てあなたの意思を反映したものです。
そこから得られる情報は、あなたの指示で、身体が集めたものなのです。
つまり、あなたが認識している世界は、あなた自身が創り出した世界なのです。