夢が伝えてくれたこと
先日変わった夢を見ました。
私は乗り物に乗っています。
小さな列車のようで、向かい合った一人掛けのシートに、座っていました。
私は進行方向に、背を向ける形で座り、前のシートには男性が座っています。
後ろには、背中合わせのシートがあり、そこにも背が高い人が座っていました。
前に座っていた人物は、現実には見た事がない人でした。
でも夢の中では、知り合いだったようです。
私は何だかうとうととなって、背もたれに体を預けました。
しかし、背もたれが低いので、私の頭の位置が、後ろにいる人物の、肩の横になりました。
後ろの人物の顔を、のぞこうとしたみたいな格好です。
すると、その人物もうとうとしていたのか、私と同じような格好になりました。
それでお互いの顔が見えたのですが、その人物は若い男性で、私の知っている人のようでした。
その時、私の前に座っていた男性が、彼のことを、ほら、あいつだぞ、と教えてくれました。
それで私は、やっぱり彼は自分の知っている人物だと、わかったのです。
三十年前、私の家にアメリカの高校生が、ホームステイに来た事があります。
ユダヤ系の男の子で、名前をジャスティンと言います。
夢の中の私は、自分の後ろにいた人物を、このジャスティンだと理解したようでした。
でも、彼の顔は私が知っているジャスティンではなく、アメリカの子役俳優だった、マコーレー・カルキンの顔でした。
映画「ホーム・アローン」で一躍有名になった、あのマコーレー・カルキンです。
その顔は少し眠そうで寂しげでした。
彼は私だとわかると、笑顔で話しかけて来ました。
でも、日本語が上手ではないので、限られた言葉での、ぎこちない話し方です。
それでも彼は懸命に、自分の夢を私に語ってくれました。
それは、どうやって人々に喜びを与え、幸せになってもらうかという、彼の計画でした。
しかし、私には何故か、彼の未来の姿がわかっていました。
彼はエイリアンになってしまうのです。
彼は将来、エイリアンになって、人類を滅ぼそうとするのです。
それなのに、目の前の彼は、自分がエイリアンになるなんて知りません。
どうすれば人類のためになれるかと、懸命に語るのです。
ただ、世間が彼を快く受け入れていない事は、その表情から理解ができました。
彼は自分の苦難に立ち向かいながら、何とか人々に自分を受け入れてもらい、みんなの役に立とうとしていたのです。
私は切なくなりながら、彼の話を聞いていました。
そして、彼の夢が叶って、将来エイリアンにならずに済むように願いながら、彼の話にうなずいていました。
どうして彼を、うちにホームステイした、ジャスティンだと思ったのでしょうか。
その理由は、ジャスティンという名前です。
英語にはジャスティスという言葉があります。
正義という意味です。
ジャスティンという名前の語源は、ジャスティスだそうです。
日本語で言えば、まっすぐな男の子、正しい男の子という意味になるようです。
つまり、この青年は真面目で真っ正直な人物だったと、いうことなのです。
どうして、マコーレー・カルキンだったのか。
それは本物のマコーレー・カルキンが、気の毒な家庭環境にあったという、事実が関係しているのでしょう。
天才子役として、もてはやされた彼は、家庭の問題が原因で、映画界を去りました。
才能があったのに、環境がだめにしてしまったのです。
こんな夢でした。
私はこの夢で、世間から極悪人だとか、テロリストだとか呼ばれる人たちも、初めからそうだったのではないのだと、改めて理解しました。
赤ん坊の時から、誰かを傷つけようと考える者はいません。
みんな喜びを求めて生きているだけですし、周りの人たちと、楽しく過ごしたいと願っているはずです。
それなのに、ある人たちは、極悪人やテロリストの道を、歩む事になるのです。
でも、それは決して本意ではありません。
彼らが本当に願っていた事は、違う所にあったのだと思います。
ひどい事をした人を、責めるのは簡単です。
でも、その人たちの本当の気持ちや、その人たちがひどい事をするようになった経緯を、知る事は大切だと思います。
何故ならば、その人たちをむりやりに、怪物に仕立て上げたのは、私たち自身かも知れないからです。