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子供の頃に読んだ本

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 ※PexelsさんによるPixabayからの画像です。

若者の読書離れが言われ始めて、もう30年になるそうです。

紙の本を読む人は、加速度的に減っていますし、電子書籍もその穴埋めをするには、至っていないようです。

今の人たちは、本を読むよりも、ネットゲームやネット動画の方が、面白いと言います。

私も若い頃は、読書をするよりも、マンガの方が面白いと思いました。

その理由を考えますと、マンガですから絵が描かれているので、わかりやすくて目を惹かれたのでしょうね。

子供用のマンガは、子供が喜ぶようなストーリーになっています。
それに本の話と違って、いきなり面白い展開が、始まったりします。

登場するキャラクターたちも、性格が一目瞭然で、すぐに好き嫌いの判断ができます。

本の場合は、しばらく読まないと、話の状況がわかりません。

登場人物についても、そうですし、ストーリーそのものも、読み進めて行かないと、気に入るかどうかの判断ができません。

よくわからないまま読み続けると、読むのに疲れて、もういいやとなってしまいます。

私が小学生の頃、小学館が出版した「世界の名作文学全集」というものがありました。

一冊が百科事典のように分厚い本で、一冊の中にいくつかの話が収録されています。

そんな本が、全50巻もあるシリーズで、それを私の父が購入しました。
もちろん、自分の子供に読ませるためです。

その子供とは、私と兄と弟の三人です。

しかし、兄も弟も読みません。
それで私が、読むしかありませんでした。

 ※Sofía López OlaldeさんによるPixabayからの画像です。

一冊を全部読んだと言えば、親に喜んでもらえるし、読まなければ、がっかりされてしまいます。

親の期待に応えるために、私は本を必死に読みました。

それでも一冊全部を読むのは、かなり骨が折れました。

子供向きの面白い話は、すいすい読めました。

でも、ちょっとむずかしい話だと、読んだというより、文章を目で追ったという感じでした。

ただ、あとでどんな話だったのかと聞かれるので、物語の要所要所は、押さえるようにしていました。

そうやって、五十巻全部を読み切ったのに、頭に残っている話は、ほとんどありません。
ただ、読んだというだけです。

この話はよかったなとか、また読みたいなと思ったものは、一つもありませんでした。

でも、学校の図書館で、自分で選んで読んだ本は、とても気に入り、何度も同じ本を借りて、読みました。

それは「うりんこの山」という、三匹のイノシシの子供たちの話でした。

やいば、いぶき、すずか、という名の三匹のうり坊たちが、成長して行く話です。

 ※北村けんじさんの「うりんこの山」

子供の本なので、挿絵がありました。
この絵も、何だかとても魅力的でした。

私は次男だったので、同じく二番目のうり坊、いぶきがお気に入りでした。

懐かしく思って、インターネットで調べてみると、すでに廃刊となっているようで、古本屋でも手に入らないみたいです。

私と同じように、子供の頃にこの本を読んで感動し、大人になってから探し求めている人が、何人かいらっしゃるようなので、何だか嬉しい気持ちになりました。

そうそう、思い出しました。
「世界の名作文学全集」の中にも、一つだけ印象の強かった話がありました。

それは「子鹿物語」です。
話の内容は、ここには書きませんが、有名な話なので、ご存知の方も多いと思います。

私はこの本を読んで、人間がとても嫌いになりました。

人間が自分の都合で、生き物の命を奪うのです。

それが生きる事だと、作者は伝えたかったのかも知れません。

でも、それこそ大人の勝手な考えでしょう。

その怒りは今でも、胸の奥に残っています。
ですから、この物語は繰り返して読んだりしていません。

ただ、「うりんこの山」にしても、「子鹿物語」にしても、子供だった私の心に、強い印象を残した点では、同じです。

そういう意味で、二つの物語は、どちらも優れた話なのだと思います。

そして本とは、そういうものでなければならないと、思うのです。