重なる世界
私たちが経験している世界は、パソコンのモニターの中にある世界のように、自分だけの世界です。
一人一人が同じ規格のパソコンと、同じプログラムを利用して、同じ世界を体験するのと、似ています。
ただ、同じ世界を体験してはいるのだけれど、正確に言えば、自分が体験しているのは、自分の心に映し出された、自分だけの世界なのです。
他の人の心にも、同じような世界が映っているだろうと、推測はできますが、確かめることはできません。
パソコンのモニターと同じように、自分には見えていないものが、他の人には見えているかも知れませんし、その逆も有り得ます。
またインターネットでは、その人がどんな情報を好むのかを察知して、そのような情報を自動的に集める、プログラムもあります。
インターネットの画面を見ていると、脇の方に小さな広告の画面が出ていますが、それが自分が最近検索したものに、関連したものである事って、ありますよね。
そんな感じで、自分が望む望まないに関係なく、プログラムの方で、勝手に情報を集めるのです。
これと同じことが、私たちの人生でも起こっているとすれば、どうでしょうか。
みんな同じ世界にいて、同じような暮らしをしていると思っているのに、自分にばかり嫌なことが起こってしまうと、思えるようなことはありませんか。
あるいは、何かに興味を持って調べていると、それまでは気がつかなかったような情報が、次々に勝手に目につくようになる。
こんな経験があるのではないでしょうか。
このように私たちの人生においても、自分が意識を向けたものが、自動的に集められるようになっているのです。
自分はそんなもの、好んでいないと言う人はいるでしょう。
でも、こんなのは嫌だ嫌だと考えるのは、そこへ意識を向けているのと同じなのです。
嫌なことから逃げようとすればするほど、もっと嫌なことが起こるというのは、そういう事なのです。
嫌なことから逃げるのではなく、自分が本当に興味を持つことに、意識を振り向けると、自然に嫌なことは起こらなくなります。
代わりに、興味を持ったことに関する情報が、集まって来るようになるでしょう。
自分は不幸だ、自分はお金には縁がない、自分は何をやってもうまく行かない。
こんな風に考え続けていると、ずっとその状況が続きます。
そして、それは自分の想いに、自信をつけることになり、やっぱり思ったとおり、自分は不幸な人間なんだと、ますます強く思い込むことになるのです。
インターネットには、いろんなサイトがありますよね。
楽しいサイトから、よくわからないサイト、近づかない方がよさそうなサイトなど、いろいろです。
どのサイトに興味を覚えるかは、その人の価値観によります。
インターネットでは、自分が関心を持った情報に、関連するサイトへ導こうとする、広告が勝手に出て来ます。
それと同じように、人生においても、自分の考え方に応じた人たちが、自動的に導かれて、集まるようになっています。
一人ではできないことが、集団ではできるので、集まった者たちで、楽しいイベントを開くことがあります。
でも、悪い企みを計画することもあります。
それは集まった者たちの、価値観によるのです。
一人一人の世界を、パソコンのモニターをのぞくように、確かめることができたとすると、恐らく、みんな同じ世界にいるとは、思えないでしょう。
集団を作る人たちの中では、共通の世界が創られています。
でも、異なる集団同士では、全然世界が違うのです。
物理的にいる場所が、遠く離れていたとしても、同じ思考を持つ者同士は、似たような世界を構成します。
元は同じ世界の情報から、同じ人間の体を通して、世界を創っているのに、出来上がった世界は人それぞれで、他の人たちと極端に違う世界も、珍しくないのです。
それでも私たちは、考え方や価値観が異なる人たちの姿を、見ることができますし、望めば接触することもできます。
だから、そういう人たちと自分が、同じ世界に存在していると、考えてしまいます。
でも、実際は関心のない人に、接触することはありません。
道ですれ違うことがあっても、それだけの話です。
あなたの世界に、あなたに関係のない人は、存在していないのです。
このように、同じはずである世界の中には、実際には人の数だけ創造された、無数の世界があるのです。
似たような世界は、そこに大きなグループを作ります。
異なるグループは、異なる世界に生きています。
つまり、私たちが現実と呼ぶ世界には、様々な世界が重なり合って、存在していると言えるのです。
自分が体験している世界を、堪能している人もいれば、うんざりしている人もいるでしょう。
でも、みんなそれが唯一の世界であって、何も変わらないと信じているから、現在体験している世界は、そのまま続きます。
もし、自分の考え方や価値観を変えられたなら、途端に自分が所属する世界は、変わります。
同じような風景が見えるので、何も変わっていないように、見えるかも知れません。
でも、それはそれぞれの世界が、重なり合っているから、そのように感じるだけなのです。
実際は、考え方を変えた人は、前とは異なる世界にいます。
自分が嫌な世界にいると信じている人は、嫌なことにばかり目を向けるのをやめて、楽しいことに集中しましょう。
嫌なことが起きたとしても、笑い飛ばすようにして下さい。
そうすれば、もう元の世界に戻ることはありません。
喜びを求め続ければ、その求めに応じて、新たな喜びが訪れることになるでしょう。