資本主義の次に来るもの その3
世界中の人々が、お互いを思いやって、無償で働くようになれば、資本主義経済は必要なくなります。
しかし、具体的にどうすれば、そんな事ができるのでしょうか。
世の中には、報償がもらえないと、人間はやる気を失うという、思い込みがあります。
これは間違いとは言えませんが、正しい表現ではありません。
大抵の人は、報償という言葉に、お金を結びつけます。
つまり、お金がもらえないと、人間はやる気が出ない、という事です。
しかし、喜びがないと、人間はやる気が起こらない、というのが正しい表現でしょう。
そして、喜びというものは、人によって違います。
お金を喜びと考える人もいれば、達成感を喜びとする人もいるでしょう。
挑戦する事を喜ぶ人もいれば、誰かの笑顔を喜ぶ人もいるのです。
お金を喜びと考えるのは、その人の自由です。
しかし世界中の人が、お金を喜びとするべきだ、というような発想は、明らかに間違っています。
また、人間心理を考えると、明らかに不自然な発想なのです。
ところで他の人のために、無償で働く場合、どんな喜びが大切でしょうか。
それは基本的には、誰かの笑顔です。
自分の行為によって、誰かが喜んでくれる。
それが嬉しいという気持ちが、新たな原動力になるのです。
挑戦する喜びや、達成感なども、お金に替わる喜びになります。
ただ、応援してくれる人や、暮らしを支えてくれる人たちへの、感謝の気持ちが必要です。
そうでなければ、ただの独りよがりに、なってしまいます。
自分の挑戦や達成が、人々への勇気や励ましになるという、自覚も大きな力になるのです。
実際、誰かの笑顔を動機にして、活躍している人たちがいます。
その人たちの活動は、インターネットの中で見られます。
インターネットでは、世界中の親切な人々が、自分たちが開発したプログラムを、無償で使えるように、提供してくれています。
Wikipediaのような百科事典サイトや、辞書・辞典のサイトも、同じです。
これらのサイトのお陰で、どれほど多くの人が助かっている事でしょう。
また、多くのNGOや、ボランティアの方たちも、誰かの喜びを力に変えています。
みなさん、お金が中心の世界の中で、いろいろ苦労をされながら、自分が思った事をされているのだと思います。
生活費や運営費が、必要ない環境にあれば、さらなる力を発揮される事でしょう。
そんな助け合いや思いやりを、基盤とした暮らしを実現するためには、どうすればいいでしょうか。
それには、どこかにモデル地区となる町を、作ればいいと思います。
その地区では、人々が助け合う事で、自給自足の暮らしをするのです。
誰もが何らかの形で、誰かに貢献できる町造りです。
食料や物を、作る仕事だけではありません。
芸術やスポーツなど、心の成長や癒やしに、貢献できる仕事も求められます。
怪我や病気で動けなくなった人は、何もできないと思ってはいけません。
休むべき時は、誰もが休めばいいという、発想が大切です。
大切な人は、そこにいてくれるだけでも、ありがたい。
そう思えるような、気持ちも大事です。
それに、具合が悪くなった人は、同じような人の気持ちが、理解できるでしょう。
どんな環境が、そういう人には必要なのかも、わかるはずです。
そう考えれば、具合が悪くなる事も、一種の調査作業となるのです。
原始的ではない、自給自足の暮らしとなれば、いろんな業種が必要になります。
それには、多くの人が必要とされるでしょう。
そのために、モデル地区である意義を、理解してもらった上で、世界中から参加者を、募ればいいでしょう。
きっと参加を希望する人が、殺到すると思います。
その町で必要なエネルギーは、基本的には、自然再生エネルギーを使います。
それで足らないエネルギーや、町で生産できない物資については、他の町から調達します。
できれば調達先の町も、同様のモデル地区にするといいでしょう。
そういうモデル地区を、あちこちに造り、互いの足らない部分を、補完し合うのです。
当初の必要経費は、国が出します。
モデル地区ですから、投資のつもりで、税金を投入すればいいのです。
どうしても海外から、輸入しないといけない物があれば、そこも税金を使います。
しかしモデル地区の趣旨を、理解してもらえる国であれば、国同士で協力し合う事もできるでしょう。
お互いに無償で、物資や技術を融通し合う事も、できると思います。
ただ、輸送のコストについては、馬鹿にならないでしょう。
産油国などの協力が得られれば、いいのですが、温暖化のことも考えますと、一刻も早いフリーエネルギーの登場が、待たれるところです。
逆に言えば、フリーエネルギーが開発され、誰でも無償で利用できるようになれば、このモデル地区計画は、間違いなく成功すると思います。
そして、そのシステムは瞬く間に、世界中に広がることでしょう。
このシステムが世界に広がる意義は、単に人々が暮らしやすくなる、というだけではありません。
助け合いと思いやりが、基盤になっているのです。
助け合いは、お互いに相手への、感謝も生むでしょう。
助け合いと思いやりに、感謝が加わるのです。
人々の信頼関係に、疑いが入る余地は、なくなるでしょう。
それは争い事が、なくなる事を意味します。
国境問題も、人種差別問題も、人々を分断するような問題は、全て消え去るでしょう。
世界の人々が国境を越えて、心を一つにするのです。
それは人類が自分たちを、地球人だと認識するようになる時なのです。