資本主義と社会主義(共産主義) その2
自由競争である、資本主義経済が発展すると、貧富の差が広がりました。
その原因は、個人の利潤追求にあり、資金力の強い所が、冨を独占している。
そんな批判の下に、新たな経済システムが考えられました。
それが社会主義です。
社会主義では、経済の自由を個人から取り上げ、全てを国が、取り仕切る事にしたのです。
その理念には、資本家と労働者という対立をなくし、全ての者が労働者である、平等な社会とうものがありました。
労働計画は全て国が立て、国民は国から言われたとおりに働きます。
本当は違う仕事がしたかった、と言っても通りません。
この仕事をしろと言われれば、そうするしかないのです。
それに、どんなに働いても、給料が増えるわけではありません。
みんな平等ですから、働いても働かなくても、給料は同じです。
人々は国に言われたまま、ロボットのように働くだけです。
そこに喜びはありません。
それに、仕事の手を抜いたところで、給料は同じなのです。
資本主義であれば、好い加減な事をすれば、クビになってしまいます。
しかし社会主義では、クビにされる事はありません。
真面目に頑張る人は、やってられないよ、となるわけです。
また、国の生産指示が、必ずしも正しいわけではありません。
それでも言われた事は、指示どおりにやるしかないのです。
そんな社会主義に、人々はやる気をなくし、生産性は低下しました。
うまく行くと思われた経済は停滞し、国民の生活は苦しくなりました。
一方で、国民に不満な平等を、押しつけた行政では、指導者たちが冨を独占しました。
国民の不満はついに爆発し、社会主義国だったソビエト連邦は崩壊しました。
ソビエト連邦を引き継いだ形のロシアでは、資本主義を取り入れています。
また、社会主義国である中国やベトナムなどでも、経済システムに資本主義を取り込んでいます。
その結果、平等であるはずの国民には、貧富の差が広がっています。
ところで社会主義と似たようなものに、共産主義があります。
この二つは、たびたび同じものであるように、扱われています。
調べてみますと、共産主義というのは、社会主義がさらに発展した状態を、言うのだそうです。
共産主義では、あらゆる面で国民が平等なのです。
経済の面だけでなく、地位や階級などの面でも平等です。
つまり、国民を管理する政府や国家も、必要ないという事なのです。
しかし、政府や国家の存在しない国や地域は、存在しません。
共産党が一党独裁を行っている、中国などの国は、共産主義国家とは言えないのです。
共産党が支配している国は、共産主義なのかと思いがちですが、実はそうではなかったのですね。
そもそも経済に、資本主義を取り込んでいる時点で、共産主義とは言えません。
しかも、共産党の上層部が、冨を蓄えるという構造は、共産主義とはほど遠いものでしょう。
もちろん、社会主義にも当てはまりません。
では、そういう国の経済理念は、何と呼ぶべきなのでしょうか。
資本主義を取り込んではいるものの、個人の自由は、国の管理下にあります。
本当の自由競争ではありませんから、資本主義とは言えません。
政治体制については、共産党の一党独裁という言葉どおり、共産党による独裁政治です。
ですから、独裁資本主義とでも、言うべきかも知れません。
どんな主義であれ、それが国民の幸せにつながるのであれば、それで構わないと思います。
しかし独裁資本主義が、国民のためにあるのかと言われると、そうではないように思えます。