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全盲のマジシャン

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 ※bBearさんによる写真ACからの画像です。

新潟総合テレビの記事で紹介されていた話です。

タイトルにある全盲のマジシャン は、長岡市に暮らす藤田芳雄さん(72歳)です。

藤田さんは30歳を過ぎた頃から、網膜の病気になって、徐々に視力を失ったと言います。
今では明るささえわからない、全盲です。

人生を悲観し、一時は死ぬことまで考えた、と言う藤田さんですが、三年ほど前に出会いがありました。

三条市を中心に活躍する、マジシャンのバーディ山井さんです。

山井さんと知り合った藤田さんは、月に数回、山井さんからマジシャンを、教わるようになりました。

そして、二年前から舞台で、技を披露するようになりました。

目が全く見えないのに、何故マジックを始めようと、思ったのでしょうか。

その問いに、藤田さんはこう答えています。

「マジックは見えないと面白くないと思うかも知れないが、マジックをやることは見えなくても楽しめる。“人が喜ぶという事を楽しむ”という事かな」

とは言っても、目が見えても修得するのに大変なマジックを、目が見えない状態でやるのです。
大変でないわけがありません。

人の何倍も練習をした、と言う藤田さんですが、教える山井さんも素晴らしい。

教えるにあたって、最初はやはり戸惑いがあったと言いますが、藤田さんの熱意に負けたそうです。

山井さんは目が見えないからと言って、教えるのに手を抜きません。

一方の、藤田さんも障害があるから、これぐらいしかできないと思われるのが嫌で、頑張ったそうです。

藤田さんは言います。

「今までで一番嬉しかったのは、できないと思っていた事が、一つ一つできるようになった事」

本当に素敵な人ですね。
この言葉を口にできる人が、世の中にどれほどいるでしょうか。

また、藤田さんは演技中に、時には失敗もあると言います。

でも、失敗を恐れる様子はありません。
失敗しても、初めからやり直して、今度は成功させます。

そして、藤田さんの演技を見た児童は、失敗してもやり直して、成功するまで挑戦したいと述べたそうです。

失敗を恐れず、失敗しても諦めないで、繰り返し頑張って、最後には成功させる。

これは子供たちにとって、とても大切なメッセージです。

失敗とは、やってみて上手く行かなかった、ということです。
本来、そこにいいとか悪いという、意味はありません。

しかし今の社会では、成功がいいもので、失敗は悪いものという、レッテルを貼る傾向が強いと思います。

成功は、失敗の積み重ねの上にあるもので、失敗なくして成功は有り得ません。

また、失敗を繰り返しながら、成功へ至るまでの道のりこそが、本当に楽しいのです。

成功した後で話に出るのは、必ず様々な失敗談です。

あの時は大変だった、あれはさすがにこたえたよ、などと当時を振り返りながら、感慨に耽ったり、失敗した時の慌てた様子が、笑い話になったりします。

失敗を恐れず、楽しみながら頑張り続ければ、最後には必ず喜びが待っています。

そのことを身を持って、子供たちに教える藤井さんには、これからも素敵なマジックを、続けていただきたいと思います。