ベーシックインカム その後
コロナ惨禍の中、スペインは貧困者に限っての、ベーシックインカムを導入しました。
それでも、まだコロナ騒ぎは落ち着かず、失業率も高いまま続いていると言います。
しかし、この状況はベーシックインカムを、否定的に見る理由にはなりません。
国や企業が混乱している状況の中で、これまでどおりの仕事を求めることは、むずかしいのです。
重要なことは、そんな状況の中においてでも、貧困者の生活が保障され、将来への希望を夢見るチャンスが、与えられているということです。
仕事というものは、世の中の需要に対して、必要なものを供給できるもの、でなければなりません。
需要に対して、供給が過剰になると、その業界では、潰れる会社が出て来ます。
資金のある所、力の強い所が生き残るわけですが、そういう大きな会社でさえ、市場そのものが縮小すれば、やがては行き詰まってしまいます。
どの時代もそうでしょうが、本当に生き残れる企業というのは、世の中の新たな需要を見出し、それに対する供給を、提供できる所なのです。
コロナウィルスをきっかけにして、世界中の様子が変わりました。
人々の価値観も大きく変化しており、もはやコロナ騒ぎ以前に、戻ることは不可能でしょう。
それはつまり、人々の需要が大きく変わったことを、意味しています。
既存の企業の価値観では、それに応えることはできません。
そういう企業は、人員を整理して人件費を削り、それで何とかしのごうとするでしょう。
そんな企業を頼って、失業率を改善させようという考えは、間違っています。
今、3密を避けたり、移動をしなくて済む、IT関連のシステムが、もてはやされています。
IT関連企業以外の会社は、ダメージからの回復が、困難なように言われています。
それは世の中の変化に、それらの会社が、ついて行けていないということです。
いつの世も、潰れる企業や、だめになる仕事はあるものです。
今回、潰れる企業が多数出て、失業者が増えたとしても、それは仕方がないことでしょう。
しかし、ここは嘆くところではありません。
新たな仕事を創り出す時なのです。
自分たちが困っているのなら、どういうサービスが求められているかが、わかりやすいはずです。
そして、できる範囲で、人々の求めに応じる仕事を、新たに生み出して行くのです。
生活に困窮しているのであれば、仕事は生活費の確保が、目的になるでしょう。
しかし、ベーシックインカムなどで、最低限の生活が保障されるのであれば、純粋に人々の求めに応じた仕事、自分の性に合った仕事を、始めることができます。
スペインでこうした動きが、出て来るまでには、まだもう少し時間が必要です。
必ずいい方向へ動き出しますから、長い目で見守りたいと思います。
一方で、とても期待を寄せたくなる、記事がありました。
ツイッターCEOのジャック・ドーシー氏が、アメリカの15都市の市長が作る団体、メイヤーズ・フォー・ア・ギャランティード・インカムに、300万ドル(約3億2100万円)を提供すると発表したそうです。
この市長たちは、ベーシックインカムを導入して、人々を貧困から救い、コロナウイルスによる経済的打撃や、失業の影響を和らげるという、実証実験を計画しています。
ジャック・ドーシー氏は、この計画に資金を提供したわけです。
これはとても素晴らしいことです。
特にアメリカで、このような動きがあったことや、動きを起こしているのが、多くの市長やツイッターCEOであることが、驚きでもあり、期待感を持たせてくれます。
連邦議員の中にも、ベーシックインカムに、賛同している方がいるそうです。
ツイッターCEOが協力することで、アメリカにいる多くの大富豪が、セレブとしての価値を、その品格に求めるようになるでしょう。
そして、自分たちは世界を変える力を、持っているという事に、気づくのです。
そうなれば、ベーシックインカムへの資金は、急速に膨らんで行きます。
資本主義の象徴であるアメリカで、ベーシックインカムを、推し進める動きが広がれば、その影響は、世界中へと広がるでしょう。
また、アメリカのように裕福ではないスペインでも、ベーシックインカムが成功すれば、国が裕福かどうかにかかわらず、ベーシックインカムは広がって行くと思います。
資金が足らない国には、資金がある国が、見返りを求めずに援助するでしょう。
その時には、国境線は意味を持たなくなり、人々は地球人としての、自覚を持つことになるのです。
地球に暮らす人類の意識は、確実に変わりつつあります。
初めは時間がかかるように、見えるでしょう。
しかし、ある程度の広がりを見せた後、新しい価値観は一気に、世界中の古い価値観と、入れ替わると思います。