許すということ その1
嫌な事、腹が立つ事ってありますよね。
それが一時的で、ささいな事であれば、問題はありません。
でも、持続的であったり、腹に据えかねるほどのものであれば、事情が違います。
問題は現在進行形となって、あなたの気分を害し続けるでしょう。
この時、あなたの心は文字通り、怒りに打ち震えます。
怒りの振動の幅が、小さいうちは、まだ耐えられます。
しかし、振動の幅が極端に大きくなると、あなたは爆発するでしょう。
爆発する事で問題が解決すれば、あなたの心は、穏やかな状態に戻れます。
でも大概の場合、爆発する事で問題はこじれ、新たな問題が生じたりして、あなたの心は疲弊するに、違いありません。
心の傷は悪化して、怒りの振動に、悲しみの振動が加わります。
その状態が続くと、傷はさらに悪化して、今度は絶望や不安、恐れ、孤独などの、負の感情の振動が、現れるようになります。
まるで体の傷のように、傷口にいろんな菌が入り込んで、化膿して行くみたいです。
心がこういう状態の時、あなたは相手に対して、強い怒りを覚え、その相手を絶対に許さないと思うでしょう。
その相手を呪い、相手がひどい目に遭う事を、願います。
ところが実際は、なかなかそうはなりません。
あなたがどう思っていようと、相手は平気な顔をしています。
その事が、余計にあなたを怒らせ、苦しめる事になります。
初めの怒りは、相手の態度や行動に、対するものです。
そこに、平穏な生活を一変させられた事への、怒りが加わります。
それなのに、相手は一見楽しげに、暮らしているように見えるわけです。
これもまた、怒りを誘うでしょうね。
さらに、こういう状況をどうにもできない、自分への情けなさも、怒りにつながります。
全てが嫌になったあなたは、相手から離れようとするでしょう。
そうする事で、相手からの直接の刺激は、なくなります。
それで幾分、楽になりますが、心に生じた様々な振動は、強くなったり弱くなったりを、繰り返しながら、依然として残ります。
忘れたように思えても、ふとした拍子に、怒りや悲しみが、突然湧き起こる事もあります。
タイムスリップをしたかのように、過去の感情が再び、今の心を大きく揺さぶります。
相手が目の前にいないというのに、心は怒りや悲しみで、一杯になるのです。
自分の心の傷は癒えないのに、相手は自分に詫びる事もなく、平穏な暮らしを送っているのかと思うと、無性に腹が立って来ます。
でも、相手が現れて土下座をしたとしても、とても許せる気持ちには、ならないでしょう。
そんな事をされたところで、自分の心の傷が、癒えるわけではないからです。