前を向こう その3
自分を傷つける価値観だとわかっているのに、それを手放すことができないのは、自分を低く見てしまう価値観が、心の奥底に隠れています。
自分なんかには価値がないから、他人に傷つけられても当然で、そんな人生が自分にはお似合いなんだという思い込みが、心の目立たない所に刷り込まれているのです。
生まれて来た時には、そんな考えなんか持ち合わせていなかったはずです。
生まれたあとに、どこかで刷り込まれたのですね。
それは、自分を護ってくれるはずの、家庭内かもしれません。
兄弟姉妹間で比べられ、自分は他の兄弟姉妹よりも劣っている、自分は他の兄弟姉妹のようには、親から愛されていないし、認められていない。
そんな風に思うようになったら、自信を失って当然です。
他の家の子供と比べられるということもあるでしょう。
あそこの家の子は、こんなに出来がいいのに、どうしてあなたはこうなの?
そんなことを言われても困るでしょう。
親は子供を励ましているつもりかもしれませんが、子供にすれば、たまったものではありません。
そんな気持ちを抱えたまま大きくなると、大人になっても同じ想いで、生きて行くことになります。
何をするにも自信がなく、ちょっとしたことで傷ついてしまいます。
そんな人に狙いを定めて、いじめをする人もいます。
そうなると、状況はさらに悪化して、何もかもが嫌になってしまうでしょう。
学校で先生から、他の生徒と比較されても、同じことになります。
親も先生も、子供から見れば絶対的な存在です。
その絶対的な存在から、否定的な目を向けられれば、子供がそれに抗うことはできません。
自分は大した人間ではないんだ、大した価値などないんだと、勝手に思い込んでしまうのです。
でも、大人になって、いろいろ冷静に考える力を、持てるようになっていると思います。
その冷静な思考力を使って、親や先生という存在が、本当に絶対的な存在なのか、考え直してみるのです。
そうすれば、みんな同じ人間であって、何でも知っているわけではないし、知らないことの方が多いということが、わかるはずです。
彼らが世の中のルールを作ったわけではないし、世界を創ったわけでもないのです。
ただ、世の中こんなものだと思い込まされ、自分には子供に何でもできる権限があると、信じ込まされているだけです。
本当はそんなルールも権限もありません。
それらを作っているのは、人々を支配して、思い通りに動かそうと考えている者だちです。
彼らは、ロボットのように従順な粒ぞろいの人間を、作ろうとします。
また、自分に疑いの目が向かないように、互いに競争させて、競争社会が当たり前だと思い込ませます。
そして、ただの個性を優劣という基準で見るように仕向け、自分よりも下の者を叩くことで、今の自分が置かれた状況への、不満が溜まらないようにするのです。
不満が支配者に向けられたら困るから、そうするのです。
しかし、支配者は直接誰が劣っているとは言いません。
そうは言わずに、自分に都合のいい人間を褒め称えます。
そうすると、結果的に都合がよくない者たちは、仲間内から低く見られるようになるのです。
本当は全ての人間は個性ある仲間です。
競い合ったり、争ったりするものではありません。
みんなで心を一つにして、力を合わせれば、どんなことでもできます。
支配者はそれを恐れているのです。
だから、みんなが一つにならないよう、あの手この手で人々を分断しようとします。
誰かが喜べば、誰かが泣くような仕組みを作るのです。
そんなゆがんだ心の者たちが作った価値観が、知らない間に刷り込まれています。
どうしてその価値観があるのかが、本当に理解できたならば、それを捨て去るのは簡単でしょう。
自分に価値がないと思いたくなる時は、自分に刷り込まれている、ゆがんだ価値観を見つけ出し、さっさと捨て去って下さい。
そうすれば、自然と目は前に向き、本来のあなたの人生を歩み出すことができるでしょう。