1+1=? その3
数えられる物については、1+1=2 の式が成立します。
青いボールと黄色いボールを一緒にしても、それが一つのボールになることはありません。
青+黄色=青+黄色 のまんまです。
でも、青いボールと黄色いボールを数えきれないほど集めて、一所に混ぜて置いたとして下さい。
これらのボールを、ずっと離れた所から眺めると、全体が緑色に見えるのです。
ボールに近づいて行くと、緑のボールは、ある時点から青いボールと黄色のボールが、混ざっているのだと、わかるようになります。
でも、その点よりも遠く離れると、二つのボールの色は区別ができなくなって、全部が緑色のボールに見えてしまうのです。
これは、1+1=2 ではなくなったということです。
青+黄色=緑 という数式に基づけば、この場合、1+1=1 という関係が成立した、と見なすことができるのです。
本来、一つに重なるはずのない物が、遠く離れて全体を眺めて見た時に、一つになっているように見えるのは、とても興味深いことでしょう。
人間の目と脳の関係が、そうなっていると言えば、そうなのですが、私が言いたいのは、そういうことではありません。
ばらばらになっていると思えるものも、全体で捉えたならば、そこには一つ一つを見ていたのとは、異なる色が見える、という事実が面白いのです。
青と黄色だけでなく、他のいろんな色のボールで、試して見ても面白いでしょう。
やはり、遠く離れて眺めれば、一つ一つの色とは、全然異なる色が、見えるはずです。
ボールの場合、その色は塗料の色ですから、いろんな色が混ざってしまうと、最終的には黒くなってしまいます。
ですから、多くの色のボールが混ざったならば、全体的には黒く見えるでしょう。
でも、ボールを光のスポットに置き換えたなら、いろんな色のスポットが並ぶと、全体的には白く見えます。
世の中にはいろんな人がいて、いろんな考え方がひしめきあっています。
みんな、てんでばらばらに見えますが、それぞれの人の意識が、この光のスポットだと思ってみて下さい。
そして、世界中の人々全体を眺めたつもりになってみましょう。
そうすれば、人類全体の意識の色が、見えて来るはずです。
それがどんな色になるのかは、一人一人の色がどんな色なのかに、影響されています。
逆に言えば、全体的な色が決まっていれば、一人一人の色は、その全体的な色に含まれたものに、なるでしょう。
全体の色が黒っぽいとすれば、その中に白く光り輝く意識は、少ないということになります。
世の中に、白く光り輝く人が増えたなら、全体の意識の光も、白に近いものになるでしょう。
でも、こういう考え方は、1+1=2 という見方しか知らない人では、理解がむずかしいと思います。
それでも実際に 1+1=1 となる実例があるわけですから、人間という存在を考える時に、そのような見方をしてみるのは、大切なことだと思います。