サッカーワールドカップ
中東のカタールで、サッカーのワールドカップが開催されています。
カタールという国の人権問題が取り上げられ、それを気にしない主催者側と、問題視する選手側とで、意見の衝突がありました。
オリンピックもそうですが、主催する側は、大会が開催できればそれでいい、というスタンスなのでしょう。
選手の方も大会に参加したければ、それに黙って従うしかなかったのですが、最近は選手も黙っていない傾向にあり、とてもいいことだと思います。
カタールからすれば、せっかく開催国になったのに、選手からいろいろ突き上げられては、面白くないでしょう。
そんなカタールの人たちの心を動かしたものがありました。
それは、ワールドカップでお馴染みになった、日本のサッカーファンの方たちの、礼儀正しさとサッカー愛による、会場の清掃活動です。
大概の国は、自国のチームの試合に熱狂し、大騒ぎはするけれど、それで会場が汚れてもそのままにしていることが、ほとんどです。
ところが、日本のファンの方たちは、日本チームの試合でなくても、会場をきれいに掃除します。
それも、目立つためとか、お金のためとかというのではなく、サッカーや会場への敬意の気持ちで、自発的に行っているのです。
日本人的には、武道などの会場は神聖な場所と受け止めますので、それと同じ感覚でサッカー会場を、大切に思っているのでしょう。
これは、自国のチームの勝敗にしか興味がなかった人たちには、とても奇異あるいは新鮮なものとして映ったと思います。
どうして、それをするのか。
何のために、そうするのか。
そこのところが、多くの人は損得勘定で考えますが、日本人の清掃活動は、損得勘定を抜きにしたものです。
その発想や行動は、現地の人をも自発的な清掃活動に引き込んでおり、とても素晴らしいことだと思います。
これは日本の文化というよりも、人間として自然な姿です。
相手に敬意を払い、感謝と思いやりの気持ちを示すことが、どれほど人々を幸せな気持ちにすることでしょうか。
こういう気持ちが広がれば、指摘されているような様々な問題は、自ずと解決されていくことでしょう。
政府の要人が何かを発言したり、巨額のお金を動かしたりするよりも、ごく普通の人たちの、自然で当たり前の行動が、他の人たちの心を打って、物事をいい方向へ動かすものなのです。
私利私欲のない思いやりの行動。
国や組織のトップに立つ人たちには、ぜひとも見倣ってもらいたいものです。
また日本の一般の人たちも、イベントや行楽で楽しんだあとの、感謝の気持ちを行動に示してもらいたいものです。