あなたの視点 その1
人はそれぞれの物の見方があります。
物理的に言えば、同じ物を見ていても、あなたが今いる所から見える眺めと、他の人が見ている眺めは、同じではありません。
あなたのすぐ近くにいる人の眺めは、あなたの目に映っている眺めと、似てはいますが、全く同じではありません。
1ミリでも視点がずれていれば、ほとんど似たような眺めであっても、正確に言えば、二つの視点は異なる視点なのです。
右目と左目で物を見る場合、どちらも大体同じ物を見ていますが、目の位置が異なるために、見る角度が若干違っています。
その二つの視点からの情報を、脳の中で一つに統合すると、お馴染みの立体感覚が生まれるのです。
もし、人間の目が一つしかなければ、科学で言うところの、三次元という概念は、なかなか生まれて来なかったかもしれません。
また、一般の人が三次元という概念を聞かされても、今いちぴんと来なかったと思います。
みんなが三次元を理解できるのは、普段から立体感覚を持っているからこそなのです。
話を戻しますが、一人の視点ではなく、二人の視点があった方が、全体的に見ている対象物を、理解することができます。
ある山を眺めている場合、一人の目には山が三角に見えても、別の人には長細く見えるかもしれません。
そこにもう一人の目が加わって、その人が見た山が丸かったなら、その山がどんな形になっているのかは、それぞれの視点の情報を総合して、判断されることになります。
それは一人の視点からの理解とは、全く異なるものでしょう。
それぞれの視点があることで、全体的な理解ができるわけであり、一人一人が異なる視点を持つということは、とても重要なことなのです。
物理的なことだけでなく、その対象に対する想いや価値観、意味づけという視点も、人それぞれの知識や経験によって、違って来ます。
戦争や災害などの、悪い出来事も、単純に悪いという見方だけでなく、そこから何かを学ぶという視点が加わると、それまでとは違う意味づけや解釈が、できるようになります。
逆に、平和で華やかな雰囲気を、単純に素敵なことだと思っていても、その裏で誰かが犠牲になって、泣いたり苦しんだりしていたならば、全く別のイメージになることでしょう。
でも、このようなことは、たった一つの視点からでは、理解できません。
多くの視点、異なった視点があるからこそ、本当のことがわかるのです。
それは世界観ががらりと変わるということであり、片眼で見る世界と、両目で見る世界が、全然違うのと同じことです。
そういう観点で考えたならば、あなたという存在、あなたの視点というものが、どれほど大切かということが、わかると思います。
また、あなただけでなく、他の人たちの視点も、それと同じように大切だということも、理解できるでしょう。