戦争と平和 その3
自分と相手を同じ存在だと理解できれば、争いごとは起こりません。
相手の喜びは自分の喜び、相手の苦しみは自分の苦しみと受け止めれば、相手が困っているのを、放っておくことはできません。
ましてや、相手を踏み台にして、自分ばかりがいい想いをしようとは、考えもしないでしょう。
この相手の範囲を、個人から集団へ広げて行ければ、社会全体が思いやりで満ちあふれたものになります。
それが国境を越えて、他の国の人たちにも広がれば、もはや人間は自分を小さな地域に限定した存在とは見なさずに、胸を張って自分は地球人だと言うようになるでしょう。
それを邪魔するのは、自分はこの地域、あるいはこの国の支配者だと、自認している者たちです。
どうして支配者になりたいのか。
その根底には、大きな不安があります。
自分が抱えている不安を払拭するためには、自身が支配者になって、物事を自分の思ったように、動かすしかないと信じているからです。
また、多くの人が自分の現状や将来に対して、不安を抱いています。
そのため、少しでも自分たちを有利に導いてくれそうな指導者を、指示しようとします。
それは、その指導者でなければ、自分たちが置かれた状況を、変えることはできないと、信じているからです。
国民の不安が、不安を抱えた指導者を後押しする形になり、それで国はおかしなことになって行きます。
不安を抱える人は、他人を思いやる余裕などありません。
不安が大きく募ると、他人から何かを奪い取ってでも、自分の暮らしを守ろうとします。
世界に本当の平和を導き、人類を一つにするためには、これらの人々の不安を払拭する必要があります。
そして、人間として生まれた本当の喜びを、知ってもらうことです。
そうすれば人々の不安は解消され、おかしな考えを持つ者が、指導者の立場に立つことはありません。
また、これまでの争いの歴史に終止符を打ち、世の中から争いごとをなくすのに、これ以外の方法はありません。
どんなにお金をばらまいて、物質的に人々を裕福にしたとしても、それがいつまで維持できるのかという不安が付きまといます。
もしかしたら、他の所から来た者が、自分たちの暮らしを台無しにするのではないかと、疑ってしまうのです。
しかし、自分が人間であり、本来の人間がどのようなものであるのかを知ったなら、不安は解消されて、相手に疑いの目を向けることは、しなくなります。
自分もみんなも、同じ兄弟なのだと理解できる教育と実践こそが、戦争をなくし、本当の平和をもたらしてくれます。
そのためには、一人一人が上から言われたことを鵜呑みにせず、何でも自分で真剣に考えて、自分の心の声に従わなければなりません。
多くの宗教で神の存在が叫ばれますが、本当の神とは、心の中にこそいるのです。
言い換えれば、あなたも他の人も、あるいは他の存在全てが、神の分身なのです。