花の不思議 その1
花は受粉をして、種子を作るためにあります。
風によって受粉する花もありますが、昆虫や小鳥などを通じて、受粉する花も多いですね。
花の蜜を求める昆虫や小鳥が、花の中に触れることで、雄しべの花粉が雌しべに引っ付くという仕組みです。
でも、植物はどうやって受粉に、他の生物に協力してもらうようになったのでしょうか。
植物が勝手に育つばかりで、周囲のことがわからないのであれば、このようなことは起こらないでしょう。
つまり、昆虫と土くれや、飛んで来た枯れ葉などと、区別がつかないのであれば、昆虫を誘き寄せるような仕組みも、生まれなかったはずです。
昆虫を昆虫と認識しているからこそ、その昆虫を呼び寄せるようになったのです。
また、蜜で昆虫を呼び寄せるということは、植物は昆虫が蜜を好むことを、知っているということです。
でも、どうやってそんなことを知るのでしょうか?
人間を基準にして考えると、この謎は理解ができません。
植物には脳がありませんから、植物は思考などするわけがないと、受け止める人が大半です。
また、植物と昆虫は全く異なる生き物ですから、互いに意思疎通を行うなんて、誰も思わないでしょう。
そもそも植物に意思があるのかさえ、疑わしく思われているはずです。
こうなると、できる説明は、偶然という言葉だけです。
何らかの理由で、花の中に蜜ができた植物があり、それによって昆虫が誘き寄せられて、その植物の花は、他の花と比べて、効率的に受粉することができた、というような説明でしょう。
でも、稲の花は風で受粉しますが、たわわに実った稲の穂を見ると、決して受粉の効率が悪いとは思えません。
また、蜜によって昆虫を呼ぶ花は、数え切れないほどありますが、ある植物の花だけが、偶然に蜜を作るようになったのであれば、今のように多くの花が蜜を持つことはなかったでしょう。
それでは、偶然とは呼べません。
昆虫を呼ぶ花には、蜜だけでなく、色や香りもあります。
人間が見てもきれいな色であったり、かぐわしい匂いの花も多いですが、そうではない花もあります。
でも、人間の好みの色や香りでなくても、昆虫にとっては魅力的に感じるのでしょうね。
さて、そんな不思議な花ですが、どうやってこのような仕組みになったのでしょうか。
それを理解するためには、今の常識と思われているような、思考の枠を乗り越えて考える必要があります。