洗脳を解く その3
国は発展して行くために、必要な教育を子供たちに受けさせます。
それは、現在ある体制を維持するのが目的です。
そのために有力な人材を育てなければなりませんし、国が指示を出した時に、みんながそれに従うようにしたいでしょう。
一人、もしくはグループが実権を握っている独裁国家では、その傾向が顕著です。
子供のうちから、権力に従順になるように仕向けるのです。
指導者に従わなければ、重い罰が科せられます。
それが他の者への見せしめにもされます。
その代わり、指導者に従う優秀な者は、お手本として褒められます。
優秀というのは、国に役立つ能力があるという意味です。
人類のために役立つという発想はありません。
国は国民のためにあるのではなく、独裁者のためにあるのです。
国民は独裁者のためにあるわけで、逆らうことは許されません。
私たちから見れば、ひどい話だと思うのですが、その独裁者を本気で信奉している人も、少なくないようです。
これはまさに洗脳教育によるものと言えるでしょう。
では、民主主義を掲げる国の教育は、どうでしょうか。
民主主義を掲げる国のほとんどは、資本主義の国であるとも言えるでしょう。
いわゆる独裁者がいない代わりに、お金を握っている者が、国を動かすと言っても、過言ではありません。
国は大企業を育てることが、国を豊かにすることだと考えていますから、大企業は税金などの面で優遇される立場にあります。
また、政治家が動くための政治資金というのも、結局はお金であり、多くの資金を出す者の都合が、政策に反映されやすいと言えるでしょう。
この体制を維持することが、国の使命であり、そのために子供が教育されるわけです。
新たな発想を持った子供が育って、今の民主主義や資本主義に変わる、新しい価値観の国を創るということは、今の政治家が望むものではないでしょう。
政治家が望んでいるのは、基本的に現状維持であり、その中でも少しでも他国より優位な立場に立つ、ということです。
はっきり言ってしまえば、子供たちはそのための駒として、育てられているのです。
でも、それは人間として自然な成長を促すものではありません。
子供が一人の人間として成長するための教育ではないのです。
もしそうであるならば、今の教育の中で、とりこぼされる子供がいるはずがありません。
自分に価値がないと考える子供がいるなんて、有り得ないことでしょう。
それでも、ほとんどの人が今の教育システムに疑問を抱くことはありません。
これが当たり前のものだと信じ、その中で、少しでも自分や自分の子供が優位に立てるようにと、がんばるばかりです。
これは、洗脳と言えるのではないでしょうか。