幽霊と人間 その1
夏になると、お化けや幽霊の話がよく出たものです。
大概が怖いものとして話されますが、中には不思議なだけで、怖くない話もあります。
幽霊と言うと、この世への未練や怨念を持っているように思われますが、誰かに会うために現れる幽霊もいます。
そんな幽霊は全然怖くありません。
生きている人と全く同じ様子で、相手の人は、その人が死んでいると知っていない限り、幽霊だとは気がつきません。
相手に触れることもできるし、一緒に飲食をすることもあるようです。
でも、これって不思議だと思いませんか。
幽霊というものは、亡くなった人の意識です。
本来の体はないのに、本人の想いが具現化される形で、実体を伴うことができるのです。
悲惨な形で亡くなった人が、恐ろしい姿で現れるのは、亡くなる時の状態が記憶されていて、その時に意識が固定されたままなのだと思います。
生きている人でも、とてもつらい想いや苦しい経験をしている人は、どうしてもそこに気持ちが囚われてしまって、他のことが考えられなくなります。
怖い姿の幽霊というものは、そういう状態にあるのでしょう。
自分がすでに死んでいて、次のステージへ向かわねばならないと気がつくまでは、そのままの状態に留まるのだと思います。
ところで、ここで考えて欲しいのが、生きている人間と幽霊は、全く別物なのかということです。
生きている人には肉体があって、幽霊には肉体がない。
その違いはあります。
幽霊が自分の想念によって創る体はあっても、物体としての肉体はありません。
でも、人が死ぬということは、肉体から離脱する、あるいは肉体を失ってしまった状態にあるわけです。
それが幽霊の状態であるわけですが、幽霊に肉体を与えることができたとすると、その幽霊は生きた人間に戻るのですね。
何が言いたいのかと言いますと、私たち生きている人間も、その実体は幽霊と同じだということなのです。
幽霊と言うと、未練や怨念のイメージがつきますので、ここでは幽霊と言わず、単に霊と呼ぶことにしましょう。
幽霊も霊ですが、私たちも霊なのです。
物体としての肉体をまとっているか否かの違いがあるだけで、幽霊も私たちも本質的には変わりません。
わかりやすく言えば、私たちは肉体をまとった霊なのです。