自分だけの世界 その5

立体スクリーンの下の方に下がって行くと、世界を重苦しく感じるようになります。

あまりにも下がり過ぎると、その重さに耐えきれずに、何もすることができなくなります。

何かを考えることも嫌で、息をすることにもつらさを感じるでしょう。

色がついているはずの世界も、白黒世界のようです。

楽しいはずの音楽を聴いても、耳障りになるだけです。

立体スクリーンの上の方へ上がって行くと、世界がとても軽やかに感じられます。

それまでも、別に世界が重苦しいと感じていなかったとしても、上方の軽やかさを知ってしまうと、今まで自分がどれほど窮屈な世界にいたのかと、実感することでしょう。

また、それまでと同じ風景を眺めても、その風景の色がとても鮮やかに見えるでしょう。

別に眩しいわけではありませんが、全てが輝いているように感じるはずです。

それは、とても居心地がよく、何もしていなくても喜びを感じます。

自分が自分でいることの喜びと感謝の気持ちが湧き出て、誰に対しても祝福したくなるでしょう。

さらには、全てのものと自分がつながっているのだと、感覚的に理解することになります。

この世界は、自分と他のものを区別するように、構成されています。

自分が自分でいられるのも、自分が他とは違うという、この世界ならではの体験があるからこそです。

この世界に生まれて来る前は、自分と他のものとの境界が、とても曖昧だったと思います。

こちらの世界での二人の対話が、向こうの世界では、ただの独り言かもしれません。

そんな状態の意識にとって、個としての存在を体験できるこの世界は、とても興味深く魅力的でしょう。

でも、本来は全てとつながりを持つ存在が、全てと切り離された感覚を味わうと、それはとても苦しいものになります。

逆に、他の存在とつながりを感じることができると、そこに安心を感じます。

だから、人は家族や友だち、仲間を大切にしますし、求めます。

一人でも多くの人とつながりができれば、とても嬉しく思うでしょう。

つながりを感じる相手は、人間である必要はありません。

動物や植物、大自然なども、とても安心感を持たせてくれます。

全ての人、全ての存在、世界全体とつながりを感じることができれば、これはとても凄いことでしょう。

個としての自分を残しながら、自分と他の境界が曖昧な意識をも感じるのです。

そして、それこそが人間の成長であり、進化なのだと思います。

そのためにも、まずは自分の世界が、自分の意識の中にあると知ることが大切です。

そして、その世界をコントロールできるのは自分だけだし、自分にはその力があるのだと、信じるのではなく、知ることです。