駅ピアノ その1
NHKの番組で、「駅ピアノ」というのがあります。
どこかの駅にピアノが一台ぽつんと置かれていて、駅を訪れた人たちが、自由に演奏するというものです。
世界中の列車の駅を舞台にしていますが、日本の駅もありました。
同じシリーズで「空港ピアノ」「街角ピアノ」というのがあります。
ピアノが置かれている場所が異なるだけで、番組の中身は同じです。
日本人にとって楽器を演奏できるというのは、特別なことのように思えるでしょう。
また、見知らぬ人たちの前で演奏するのは、完璧主義の日本人としては、とても気恥ずかしくて、勘弁してよと言いたくなると思います。
この番組は、海外のピアノ演奏を紹介していたのですが、向こうの人たちはピアノを見ると、おっと言う感じで近づいてきて、演奏を始めてしまうのです。
近くで関係のない人が聞いていようがいまいが、おかまいなしに、自分の得意な曲や大好きな曲を演奏するのです。
もちろん、海外の人みんなが同じだとは思いませんが、さすが外国の人は日本人とは感性が違うのだなと感心していました。
みんな、自分の世界に入り込んでいて、周りがどうなのかなんて何も気にしていません。
しかも驚いたのは、一見ピアノを弾くようには見えない、がたいのいい、いかつい感じの男の人が、ピアノの前に座って、見事に演奏するのです。
演奏が終わったあとにインタビューが入るのですが、さらに驚きなのは、その人はピアノを独学で覚え、今弾いた曲もオリジナルだと言うのです。
演奏する人の中には、同じような人がいくらでもいました。
たった一曲だけ、自分が好きな曲が弾きたくて、ここ2,3年に始めたばかりという人もいます。
それが、またうまいんですね。
日本人の場合、ピアノ演奏は特別なもので、弾けるようになるには、ちゃんとした先生について教えてもらったり、音楽学校で勉強しないとだめ、みたいに考えがちです。
また、それでも演奏できるのは、特別な才能や恵まれた環境にある人だけだと、考えてしまう人が多いと思います。
でも、この番組を見ていると、そうではないのだということが、よくわかります。
どんなことでも、本気でやりたいと思ったなら、実現できるということを、名前もわからない普通の人々が、さらりとお手本を見せてくれるのです。
ほんとにこの番組はいい番組だと思います。
番組ではピアノ演奏を紹介しているのですが、別にピアノ演奏に限らず、同じことはどんなことにでも言えるのですね。
とにかく、本気でやりたいかどうかだけです。
環境が悪いとか、才能がないなどという、言い訳を一切しないことです。
本当にやりたければ、自分がどんな状況にあっても、必ずやり遂げることでしょう。