体の傷と心の傷 その4
体の傷と心の傷を、比べてみましょう。
体に傷ができると、かさぶたが傷口を塞ぎます。
外敵が侵入しないためです。
心に傷を負った時も、かさぶたのように、傷口を塞いでくれるものがあります。
それは冷静さです。
冷静な思考が、心の傷と他の問題を、絡めないようにしてくれます。
つまり、傷の中に他の余計なものが、入り込まないようにするのですね。
しかし、冷静さを持ち合わせない人は、心の傷に他のマイナス思考が入り込むのを、止めることができません。
場合によっては、自ら傷口に塩を擦り込むように、わざわざ自分でマイナス思考を取り寄せて、それを心の傷の中に押し込んでしまいます。
一つのマイナス思考を取り込むと、それは芋づる式に、次々に他のマイナス思考を、傷口に引っ張り込む傾向があります。
初めは小さな傷だったはずなのに、気がつけば、あふれんばかりのマイナス思考で、傷口は大きく広がっているのです。
また、傷の深さも初めの時よりも、逆に深くなってしまいます。
そうならないようにしてくれるのが、冷静さなのです。
しかし、冷静さというものは、一朝一夕に身に着くものではありません。
普段から、何事にも冷静でいるように心がけていなければ、心に傷に負った時に、それを冷静に見ることなどできません。
それでも、冷静になろうと心に決めたなら、心に傷を負ったあとであっても、傷に入り込もうとするマイナス思考を、制御することが可能です。
冷静さには、体の傷における白血球の役目もありますから、傷の中に入ってしまったマイナス思考を、お前は関係ないと、排除することもできます。
それでも、冷静にさせてくれないような、強力なマイナス思考もあります。
冷静になろうとしても、すぐに不安に引きずり込もうとする思考です。
それは何かというと、自分への自信のなさと、自分が決断したことに対する、責任感の欠如です。