自律思考と自立思考 その2
自律思考が悪くて、自立思考が正しいということではありません。
自律思考とは、頭を疲れさせないために、わざわざ考えなくても済むことは、考えないようにするためのものです。
ですから、自立思考で得た自分なりの価値観も、自律思考に組み込んで、日常的には頭を休めながら暮らせばいいのです。
大切なのは、状況が変われば価値観を変えられるという、柔軟性を持つことです。
自立思考による価値観であっても、柔軟性がなければ、他人の価値観同様に、自分を束縛して苦しめることになるでしょう。
そのためにも、真理を求める欲求を、封じ込めてしまわないことです。
真理を追究する姿勢があれば、今の価値観に囚われることなく、新たな状況に対応できる、新しい価値観を得ることができます。
そうして価値観が新しくなるほどに、その価値観は洗練されたものになって行きます。
つまり、いろんなことで悩んだり苦しんだりしなくなるのです。
生きる意味を見い出して、喜びに満ちた人生を、送ることができるでしょう。
一度、自分の思考というものについて、考えてみて下さい。
その場合の思考は、自立思考になります。
普段はそんなことは考えないところを、わざわざ考えるわけですから、これは自立思考です。
自立思考によって、自律思考の内容を吟味するわけです。
そうすれば、自分が誰の価値観で生きていたかが、明らかになるでしょう。
しかし、その考え方の基盤に、専門家と呼ばれる人たちの信念を、組み込んではいけません。
彼らの考えを尊重するのは構いませんが、そのまま自分のものにしてはいけません。
いろんな情報や体験を元に、自分が導き出した考えが、彼らと同じものであるのなら、それは問題ありません。
見た目は同じ考えであっても、それは自分自身の考えだからです。
その場合、その考えを変更する必要性を感じた時には、簡単に変更することができます。
しかし、他人の考えを信じ込まされて洗脳されてしまうと、それを変更するのは容易ではありません。
何事も自分で考えて、自分なりの答えを導き出すこと。
また、状況や得られる情報が変われば、その答えはいつでも変更可能だと、自分で認識しておくこと。
これができれば、自分の人生に自信と責任を持つことができます。
他人の考えや価値観に、振り回されることはありません。
それまでの自律思考が、他人の価値観に基づいたものであったとしても、自立思考によって、それを変更できます。
私たちは子供の頃から、自分で考えるという機会を、奪われています。
知らない間に、みんなと同じ考えを持つように、擦り込まれているのです。
つらい暮らしをしても、それが当たり前なのだと、思い込まされています。
でも、それは正しいことではありません。
どうか、自立思考によって、本当の自分を取り戻して下さい。
それが個人の幸せと、社会の幸せにつながるのです。