湧き出る清水 その3
人は自分と他人を比べて、それでいいかどうかを決める癖があります。
周りの人が同じことをしていれば、別に構わないかと思ってしまうのです。
自分と周りが違うと思うと、自分はおかしいのではないかと、不安になったりもします。
でも、周りの人みんなが狂っていたとしたら、どうでしょうか。
本来正常であるはずの自分の方が、狂っているのだと思うのですか。
そんなのは理不尽であり、おかしなことであり、ある意味、滑稽な話です。
多くの川が濁っているから、川とはそんなものだと考える人は、源泉のきれいな水を知らない人です。
湧き出る清水を知る人は、どんなに多くの川が濁っていても、それが自然の川だとは思わないでしょう。
それと同じで、自分の心の状態がどうであるのかは、他人と比べてはわかりません。
心の中に湧き出る清水を、自分自身で確かめるのです。
そうすれば、今の自分の心が、湧き出る清水のままなのか、余計な物で汚されているのかがわかるでしょう。
川の流れが汚されても、汚染する原因を取り除けば、やがて川は自浄作用を取り戻し、元のきれいな川に戻ります。
それは源泉から懇々と、きれいな清水が湧き続けているからです。
人の心も、世の中の価値観でゆがんでいても、それらの価値観を捨て去り、そんな価値観と接触しないようにしていれば、自然と元のきれいな心に戻って行くでしょう。
人の心にも自浄作用があり、懇々と湧き続ける心の清水が、心の汚れをきれいに流してくれるからです。
瞑想はそのための有力な手段ですし、大自然の中に身を置くというのも有効です。
あるいは自分だけの空間を作って、そこで余計なことは考えず、のんびり過ごすのもいいでしょう。
自分の心は湧き出る清水によって、創られた川なのだとイメージして下さい。
何かで苦しんでいる時には、心の川がゆがんだ価値観で、汚されているはずです。
心の自浄作用を取り戻すべく、心の中の清水に意識を集中させましょう。
それが本来の自分であると、再認識するのです。
いろんな思考を取り除くと、自分というものが、なくなってしまうように感じるかもしれません。
でも、それでも自分という存在は残っています。
その何の飾りもない自分というものを、探って感じて下さい。
そこにこそ、あなたの心の中に湧き出る清水があるのです。